エヌビディアの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン(Jensen Huang)は、ネバダ州ラスベガスで開幕した「CES 2018」のオープニングナイトに登壇し、2時間のプレゼンテーションを行った。フアンは、トレードマークの黒いレザージャケットを羽織り、MGMグランドホテルの会場に集まった数百人の聴衆らに向けて雄弁に語った。
「エヌビディアは自動運転技術を用いて運転をより安全で快適にし、トラック輸送を改善し、ロボットタクシーを実現する。この3分野はいずれも規模が大きく、急成長を遂げている市場だ」
エヌビディアは、ウーバーとVW以外にもアウディやテスラ、ボルボ、バイドゥ、メルセデスベンツなど320を超える企業に自動車向けアプリケーションを提供している。ライバルのインテルも、アルファベット傘下のウェイモやBMWなどと自動運転車の開発で提携し、協業社数を拡大している。エヌビディアが目指すのは、市場規模10兆ドルとも言われる輸送業界において少しでも多くのシェアを獲得することだ。
VWとのプロジェクトでは、VWの次世代モデルにAIとディープラーニングの技術を提供するという。「AIは車に革命をもたらしている。自動運転車やゼロエミッション車、デジタルネットワーキングはAIとディープラーニングの進化なくして実現不可能だ」とVWのCEO、ハーバート・ディエス(Herbert Diess)は述べている。
ウーバーも自動運転への注力を継続
フアンは、VRを用いたプレゼンテーションの中で、AI技術を搭載する車両の一つがEV版マイクロバスであると述べた。ウーバーによる自動運転車の開発は、プログラムの責任者だったアンソニー・レバンドウスキーの解雇によって停滞すると思われたが、同社は再び研究開発を強化している。レバウンスキーは、前職のグーグルから自動運転関連の重要機密事項を盗み出した罪で告発された。
「安全で信頼できる自動運転車を開発するためには、洗練されたAIソフトウェアと高性能なGPUを車両に搭載する必要がある。エヌビディアは、ウーバーが自動運転の車やトラックを市場に投入する上で必要なテクノロジーを提供してくれるパートナーだ」とウーバーの「Advanced Technologies Group」の責任者であるEric Meyhoferは述べている。
プレゼンの中で、フアンはVWとウーバーとの提携以外にも、自動運転技術を手掛けるスタートアップ「オーロラ(Aurora)」とのパートナーシップや、中国におけるバイドゥと部品大手のZFとの提携拡大、BlackBerry QNXとの協業、自動車向けAI機能の強化、新たなARテクノロジーの開発、自動運転車向けスーパーコンピュータの大型アップグレードなどについて語った。
「自動運転車を実現する上で、コンピューティングの課題があらゆるレベルで存在する。業界は、気が遠くなるほどの数の課題を解決しなければならない」とフアンは話した。