近頃ますます「AI(人工知能)」という言葉を頻繁に耳にするようになった。AIを搭載したロボットの開発も盛んになっている。医療や介護の現場で使われたり、ゆくゆくは消防隊が対応できないような危険な場所でも活躍することが期待されている。ヒューマノイドと言われる人型ロボットが、用途にあわせて、どんな風に人に似せられてゆくのか、今後の展開が楽しみでもある。
そんな未来のことはなかなか予測がつかないが、いま、ロボットと比べたときに思い浮かぶ「人らしさ」から私たちが学べるものはいくつかある。ロボットと違う存在であるために、「人らしさ」が何かを学び、そこを磨いておくことは必要かもしれない。
黒目よりも白目が重要?
ロボットというのは、まず、目らしき黒丸(瞳孔)があるかないかで、人っぽく見えるのかが決まる。もう少し詳しく見ると、白目(強膜)のデザインがあれば、ロボットはより人間っぽく見える。霊長類で白目があるのはヒトだけだからだ。アニメだが、「鉄腕アトム」の白目の面積の広さをみれば納得できる。
それほどの重要要素となると、人はゆくゆく、ロボットの白目の美しさと対抗する時代がくるかもしれない。歯のようにホワイトニングとまではいかずとも、白目が黄ばむのは肝臓の疲労度のバロメーターでもあるから、日ごろからアルコールの摂取量には注意したい。
鍛えるべきは、眉頭の筋肉
次に、ロボットを人に似せるのに大事なのは眉だ。レオナル・ド・ダヴィンチの「モナリザ」に眉がないのを指摘したのはスタンダールだが、たしかに眉がないと、どこか表情がはっきりしなくて個性がつかみにくい。世界中のどこの民族でも、挨拶をするときは一瞬眉が上がるし、嫌悪のサインは眉間の皺でわかるものだ。
目の表情をつくる眼輪筋と違い、眉を動かす、眉頭の上にある皺眉筋(しゅうびきん)は自分で意識して動かすことのできる随意筋(ずいいきん)だ。眉をどれだけ動かせるかはトレーニングでカバーでき、感情を伝える技術とも言える。
ロボットが今後、どれほど繊細に動く眉を搭載するかはわからない。私たちがより豊かは表情をするためには、しっかりこの筋肉を動かすこと、そしてマッサージしてケアすることも心掛けたい。
髪は自由自在に
最後に、ロボットに髪をつけると、性別、年齢、国柄が特定されるようになる。Hanson Roboticsが開発したAIロボット「ソフィア」の後頭部があえて半透明なのはこのためだ。
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私たち人間の強みは、気分や場面にあわせて、髪を瞬時に変えられることだ。アップにしたり、撫でつけてボリュームを抑えたり、巻いたりすれば髪型に限らず顔の輪郭も調整ができる。もっとロボットが蔓延すると、人は逆に野生に回帰し、ヒッピー文化のようにボサボサの髪型にするのが流行るかもしれない。
オスカー・ワイルドが逆説的に言った「自然は芸術を模倣する」とは、優れた芸術作品によって混沌とした自然の中にある秩序や、美しさを再発見することだ。いつか、「絵のように美しい景色」と言うように、「ロボットのように美しい人だ」と言われるのが褒め言葉になる日がくるのだろうか。