「#子連れ会議OK」
映画監督の紀里谷和明さんが、「自身との打ち合わせのときは子どもを連れてきて問題ない」という投稿をきっかけに、作家の乙武洋匡さんなど著名人が次々と子連れ会議を認める発言をしている。
事の発端は、熊本県の女性議員が生後7カ月の赤ちゃんを市議会へと帯同させ、「パフォーマンス」「非常識」とバッシングを受けたことによるもの。以来、子連れ会議を認めるかどうか、賛否両論の意見が相次いでいる。
そんな子連れ会議を、一連の騒動が起きる前から実践しているスタートアップがある。クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を開発するSmartHRと、クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」を運営するCAMPFIREだ。
今回、子連れ会議を実践している2社の代表、家入一真氏と宮田昇始氏の2人に、子連れ会議導入への経緯や効果について話を聞いた。
「預けられず会社を休みます」よりずっと良い
家入:宮田さんの「SmartHRは子連れ会議OKです」というツイート、かなり拡散されてましたよね。僕たちも宮田さんのツイートを見て、「#子連れ会議OK」のハッシュタグをつけて子連れ会議についてツイートしました。
宮田:そうだったんですね(笑)。あのツイート、想像以上に反響があり、たくさんの意見をいただきました。そういえば、CAMPFIREはいつから「子連れOK」だったんですか?
家入:いつだったかなー。何か制度を設けているわけではなく、具体的には覚えていないのですが、もともと僕を含めて数カ月に1回くらい、子どもを連れてくる社員がいたんです。
その頃のCAMPFIREは、まだ小さなオフィスでスペースに余裕がなかったので、なかなか子どもたちの遊ぶ場がありませんでした。ただ、子どもを連れてくる社員がいるなら、子どもを遊ばせながら働ける環境をつくった方がいいんじゃないか、と。
ずっと頭の中で構想を練りながら、オフィス移転のタイミングでセミナルームの一部をキッズスペース化することにしました。それから、子どもを連れてくる社員も少しずつ増えてきて、広報が「#CAMPFIREの小さな社長」というハッシュタグをつけて、その様子をツイッターで投稿し始めたんです。それからCAMPFIREでは、子どもが会社にいる光景は当たり前の日常になっていきましたね。
娘を抱きかかえて、デスクで仕事をする家入一真氏
宮田:僕の実家は熊本市から車で2時間、人口1万人未満で夜は電灯も少なく真っ暗。熊本県の中でもかなり田舎だったこともあり、小さい頃から三世帯で同居をしていて、「子どもが病気になったら親が働けない」状態になってしまうことをあまり意識していなかったんです。でも東京で働いてみて感じたのは、実家から離れて働いている人が多いということ。それに加えて、子どもを保育園に入れられなければ、逃げ道がなくなってしまいますよね。
そうしたときに会社が、「会社に子どもを連れて来てもいいよ」と認めてあげれば、社員にも逃げ道ができるんじゃないかと思い、SmartHRでも子連れを認めることにしました。と言いつつ、実際には正式に認めたというよりも、会社が少人数のころから当たり前のように連れて来てたのですが(笑)。
またプレゼンや取材など「対面でなければできない仕事」も、子どもをオフィスに連れてくることができれば、ぼくをはじめとした子持ちメンバーが面倒を見てあげることもできるので、安心して業務をこなせる。