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2018.01.09

元グーグル社員らが創業の自動運転企業Aurora、現代やVWと提携

chombosan / Shutterstock.com

シリコンバレーで自動運転車の開発を手掛けるスタートアップ「Aurora」がフォルクスワーゲン(VW)と現代自動車と提携する。約1年前の創業以来ステルスモードだった同社が、一気に表舞台に躍り出た形だ。

Auroraを創業したのは、グーグルの自動運転プロジェクトの元責任者であるクリス・アームソン(Chris Urmson)と、テスラのオートパイロット技術の元開発責任者であるスターリング・アンダーソン(Sterling Anderson)、そしてウーバーのAdvanced Technology Centerの主要メンバーだったドリュー・バグネル(Drew Bagnell)だ。

フォルクスワーゲンと現代自動車はいずれも2021年までに同社の技術を搭載した商品を開発したいとしている。フォルクスワーゲンについては、まず自動運転コンセプトカーの「セドリック」をベースとした、オンデマンドの“モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)”向けEVを共同開発する意向だ。

「MaaSを提供する都市にとって、オールインワンでソリューションを提供するパートナーになりたいと思っている」とフォルクスワーゲンのヨハン・ユングヴィルトは語る。

アウディやポルシェなど複数のグローバルブランドを傘下に持つフォルクスワーゲン。さらにヒュンダイとキアを持つ現代自動車らは、他社に較べて自動運転の導入に関して慎重な計画を進めてきた。

Auroraは、自動運転に必要なハードウェアとソフトウェアおよびサービスの開発も手掛けているウェイモとは違い、メーカーに技術を提供することに専念している。

アームソンとバグネルは10年以上も自動運転の技術に携わってきたベテランで、2004~2007年に開催された国防高等研究計画局(DARPA)主催のロボットカーレース「DARPA Challenges」にも参加している。アンダーソンはMIT出身のロボット研究家で、3年前にはテスラの半自動運転技術「オートパイロット」の立ち上げに携わった。

自動運転分野のベテランらが集結

「バグネルは認知に関するマシンラーニングにおいて世界で5本の指に入るほどの人材だ。Auroraは最高のチームであり、私は大きな信頼を置いている。パートナーシップにおいて最も重要なのは信頼だ」と、2010年からアームソンを知るユングヴィルトは言う。

Auroraのチーフ・プロダクト・オフィサーを務めるアンダーソンによると、同社はフォルクスワーゲンとは1年近く前から協力しており、その後、現代自動車との取り組みが始まったという。「どちらのパートナーシップにおいても、できる限り早くかつ安全に自動運転車をより広く実用化することが目的だ」

「フォルクスワーゲンとの関係は10か月に及び、これまで協力関係を深めてきた」と、テスラを2016年に去ったアンダーソンは語る。「現代自動車との関係が始まったのはより最近だが、まずは複数の都市で試験的に導入し、最終的には自社ブランドの自動運転車を市場に出すという目標は同じだ」

現代自動車はAuroraの技術を「テストプログラムや試験運用する都市に向けて独自に開発したモデル」に搭載したいと声明の中で述べている。初期段階では「レベル4」と呼ばれるほとんどすべての標準的な走行条件で人間の操作が必要ない自動運転車のハードウェアとソフトウェアを共同で開発する。

パートナーシップにおける金銭面での条件はいずれの企業も公開していない。ユングヴィルトによると、フォルクスワーゲンは「エンジニアリングやコンポーネント、ライセンス」の費用を支払うとした。

フォルクスワーゲンはまだAuroraに出資していないが、今後はそれも変わるかもしれない。

「OEM車に広く導入できる自動運転システムを開発し基準を作っていく企業は、長期的には数社に絞り込まれる。私はAuroraがその1社になると信じている」とユングヴィルトは言う。「当社はこれまで外部からの資金を受け入れてこなかったが、我々は出資に興味を持っている。現段階ではそこまでしか言えない」

編集=上田裕資

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