3. GNCホールディングス(ビタミン・栄養補助商品小売大手)
展開する9000以上の店舗でさまざまな問題を抱える一方で、市場シェアを伸ばすオンライン小売業者との競争に直面している同社は、小売事業モデルの変革を成功させた実績を持つケネス・マーテンデールを新CEOに迎え入れた。
4. マイクロソフト(IT大手)
同社のスティーブ・バルマー前CEOは数年前、「マイクロソフトが新時代に突入する上で一番良いのは、変化を加速できる新たなリーダーを持つことだ」と述べ、CEOの座を退いた。取締役会はバルマーに変革を進めるよう強く求めていた。
5. ゼネラル・エレクトリック(GE、複合企業)
今年、同社で15年以上CEOを務めたジェフ・イメルトが退任した。GEはいまだに変革のビジョンをもたらす人材を探している。企業の方向性が明確になるまでは、後任のジョン・フラネリーCEOがコストとオペレーションの改善に注力することを期待されている。問題は、この任務に取り組む適切な人材が経営チームにいるかどうかだ。
こうしたリーダーシップの変動は、まだ始まったばかりだ。ネットワークとAIにより新たな事業モデルが加速する中、今後は全ての業界がこの波にのみ込まれるだろう。現在のテック系スタートアップは迅速で現代に見合った良いアイデアを持っている上、評価額も非常に高いため、現職を退任させる資金も集まる。多くのリーダーが数十年かけて集めた自慢の経験も、新たなビジネスモデルを持つスタートアップと闘う上ではあまり役に立たない。
そこで取締役会の大半は、リーダーの考え方を変革させるよりもリーダー自体を交代する方が簡単だという結論を出す。よって今後は、大規模なCEO交代の波が訪れる可能性が高い。生き残れるのは、「自分は何でも知っている」とうぬぼれるCEOではなく、「何でも学ぶ」姿勢を持つ希少なCEOたちだ。
しかし、CEOを変えれば全てが解決するわけではない。変革活動をうまく進めるためには、企業の業務意思決定機関である取締役会も、新たな考え方、ビジネス、評価のモデルを採用する必要がある。会社が新たな事業モデルと収益源への投資と開拓を進めるには、損失や既存商品の売り上げ減も避けられないことを、役員は出資者に説明しなければならない。そのため、取締役会でもCEOと同様の「入れ替え」が起きる可能性がある。
生き残りを望む企業には新たなリーダーと役員が必要だ。古い考え方のまま新たな行動や成果を達成することはできないし、新たな考え方を導入するより新たな人材を採用する方が簡単だからだ。