個人向けの金融アドバイスを行うナードウォレット(NerdWallet)が先ごろ発表した調査結果によれば、18歳以上の子供がいる親のおよそ80%が、子供の生活費の少なくとも一部を支出している(または、していたことがある)。支援している項目には、食料品(56%)、健康保険料(40%)、家賃・住居費(21%)、携帯電話料金(39%)、自動車保険料(34%)などがある。
だが、報告書によると、仮に親たちが子供のためにこうしたお金を費やすのではなく自分たちの貯蓄に回せば、老後の生活のための蓄えを22万7000ドル以上、増やすことが可能だという。
ナードウォレットの投資・老後準備の専門家アンドレア・クームズは、「親たちは、自分の老後にどの程度の影響が及ぶかについて考えていないのだろう」と指摘する。重要なのは子供を助ける前にまず、両親が自分たちの老後に向けた準備を確実に進められているということだ。
老後のために貯蓄をしている親たちの25%近くは、自分の退職後の生活を子供が助けてくれることを期待している。だが、退職後の収入源を子供に頼ることは、堅実な計画ではない。クームズはこうした考えを「非常にリスクが大きい」と警告する。
「子供たちが金銭面でどのような状況に置かれることになるか、誰にも分からない。うまくやってくれるようになることを願いたいが、・・・(支援を期待されるのは)子供にとっては不公平なことだ」「子供たちが必要なお金を自分で賄うことについて、親は子供たちと向き合い、話し合う必要がある」
親が自動車保険の保険料を支払っているなら、その一部を子供が支払い、毎年少しずつ、子供が負担する分を増やしていくなどするのも一案だろう。
クームズはさらに、子供が学業以外に必要とするお金については、親は援助しないことだと話す。
「親たちの20%が、子供の交際費も負担していることが分かった」「その分は親の退職後のための貯蓄に回すべきだろう」
また、親たちの32%が成人した子供の洋服代を支払っていることについては、「こうした子供たちの中にはフルタイムの仕事に就いていない大学生もいるだろう。だが、アルバイト代で自分の服を買うくらいのことはできる」と指摘している。
親はこれらの支援をただ盲目的に行うのではなく、よく考える必要があるという。
助けないのも「子供のため」
自分自身の退職後に備えて計画を立て、その過程に子供たちを関与させることは、お金の問題についての責任ある行動のモデルを子供たちに示すための素晴らしい方法だ。
「親は自分の退職後の生活について、子供に話すことだ。それは子供に対し、自分自身の退職後について考えるよう促すことになる」
結局のところ、これは親が子供を金銭面で助けてはならないという話ではない。親がこの問題について、賢くならなければならないということだ。
「つまり、両親が退職後のために十分な貯蓄をしていないなら、子どもたちがコンサートに行ったり、新しい車を購入したりするのを支援するべきではない」
「老後のための準備を優先させる必要がある。さもなければ、子供たちが将来、親を支援せざるを得なくなるかもしれないのだ」