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そして、こうした“作業効率”を向上させるためにAIを導入する動きとして、大阪市は2017年の秋より戸籍関連業務の実証実験を行っている。

養子縁組や国際結婚など、戸籍に関する事務は現在、区役所の担当者が民法や戸籍法などの関係法令を膨大な書籍から個別のケースに合わせて調べ、場合によっては法務省に問い合わせている。戸籍に関するこうした審査が必要な申請があった際に、AIが回答を提示する「職員の知恵袋」を活用していこうという試みだ。職員が端末にキーワードを入力すると、AIが法律や過去の判断例などから適切な回答をはじき出す。

同市は、2018年春から浪速区と東淀川区で試験的に導入することを目標としており、これによって市民の待ち時間も短縮できると期待を寄せている。

自治体悩ますインフラ点検でもAI活用

さらに面白い試みもある。千葉市は東京大生産技術研究所との共同研究で、道路の損傷具合を自動的に診断する「マイシティーレポート」というシステムの実証実験を行い、インフラ整備にAIを取り入れる動きもある。

公用車に取りつけたスマートフォンで道路を自動撮影し、共有サーバーに画像を転送、AIが道路状況を「損傷なし」「損傷はあるが、修繕は不要」「修繕が必要」の3つに分類し、修理の必要性を判断するという仕組みだ。

各自治体の職員がAIの判断が妥当かどうかチェックした上で、学習用サーバーにデータを蓄積し、システムの精度を高めるといい、職員による目視点検より効率が上がるほか、広い範囲の道路状況を把握できる利点も持つ。

この実証実験は、2019年3月まで続行予定。バブル期以前に建設され、老朽化した橋や道路などの公共インフラの点検やメンテナンスの問題は、日本じゅうの自治体が頭を悩ます問題だ。AIを利用した新しい点検・管理システムが広く実用化されれば、時間やコストが大幅に短縮されるだろう。

「行政情報標準化・AI活用研究会」を立ち上げた三菱総合研究所の村上文洋氏は、「AIが多くの人間の仕事を奪うのではといわれますが、人口減少で人手不足がより深刻化する中、AIができるものはAIに任せ、人は人でしかできないことをやっていく時代になるのではないか」(同「NHK NEWS WEB」)と答えており、より迅速で利便性の高い住民サービスを提供するために、AIがなくてはならないものになるであろうことを示唆している。

今年が「自治体のAI元年」となり、どこまで発展していくのか──期待は高まるばかりだ。

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文=千吉良美樹

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