「世界一壊れないクルマ」がイメチェン、女性からも人気に

写真提供:トヨタ自動車


もうひとつの理由は、最新の安全機能だ。全車種にカーテン・エアバッグと運転席の膝用を含めて7つのエアバッグが標準装備されている。トヨタ・セーフティ・センスPという安全システムが搭載されているので、すべてのモデルにABS、緊急ブレーキ・アシスト、スタビリティ・コントロール、登坂発進・下降アシスト・コントロールが提供されているのも魅力だ。クラスでトップレベルの安全機能だ。

アイポイントが高くて前方向に視認性がよく、リバースカメラも搭載されていることはお父さん・お母さんどちらにも嬉しいポイントだろう。

エンジンは2.4L、4気筒ディーゼル・ターボのみだが、150psでトルクは400Nm。海外では6速のマニュアルとオートマティックも提供されているが、日本ではオートマのみだ。このエンジンには、燃費と性能を向上させる最新のテクノロジーが採用されていて、燃費は12km/Lと競争力もある。静止時から時速100kmまでの加速は13秒だからそれほど速いわけではないが、低速トルクは太いので、他のクロスオーバーに比べて遜色はない。

基本設計は頑丈なラダー・フレーム、オフロード専用サスペンション、そしてダイヤル操作で駆動方式を選択できるパートタイム4WDシステムになっている。そのおかげで多様な環境で楽に走れて、しかも上手にうねりを吸収するので、乗り心地も快適だ。

旧型は跳ねる傾向があって、ステアリングが甘かったけれど、新型はコーナーもキリっと曲がりねらったラインを保って、路面の凹凸も気持ちよく吸収する。路面からのノイズと風切り音が室内に入ってこないので、ハイラックスは高速道路での走行も快適だ。

ハイラックスの人気が高まるもう1つの理由は、自動車税が安いことかも知れない。兄貴分のランドクルーザーなら年間8万8千円だが、ハイラックスならわずか1万6千円だ。



唯一、不利な点を挙げるなら、車体の大きさだ。特に車長は、販売されているSUVの中で一番長い5.3mなので、日本の狭い道では取り回しが難いことは否めない。回転半径は6.4mと、多くのライバル車種に比べて大きいことは記しておこう。

世界的にユーザーの3分の1がSUVやクロスオーバーを指向する今、より外観が魅力的で、新鮮なファッション性があり、ファミリー・ユーザーに適したこのピックアップを発売したトヨタは、上手く時流を読んでいる。しかも価格も370万円からと的確だ。

でも忘れてはいけない。よりカッコよくなり、ゴツさを抑えたとはいえ、ハイラックスはやっぱり破壊不可能な、世界でもっともタフなクルマであることに違いはない。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事