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数々の受賞歴をもつ、国際的なデザインコンサルティング会社

プロトタイプを作るためのスペース

大企業から教育現場まで、日本においても「デザイン思考」の導入を試みる組織が増えてきたのは前回の記事で触れた通りだ。そんななか、我々のもとにはプロジェクトの相談とともに、「デザイン思考の本などを読んでプロセスは理解したが、実務に活用しようとするとうまくいかない」という悩みが寄せられることがよくある。

年間30件を超える日本企業の課題に共に取り組む過程で我々が感じる、「デザイン思考をうまく活用するために、プロセスよりも大事なこと」について、今回はお話させていただきたいと思う。

1. 最初の問いかけは正しいか? 

デザイン思考は、よく問題解決のツールとして紹介されるが、新しい物事を生み出そうとするときは、そもそも何が課題であるかがみえていないことがほとんどだ。

そういった場合は特に、中長期目標、部署のミッション、売上などに縛られてしまい、発想に制限をかけてしまうことが多い。もちろんビジネスなので利益に繋がることは重要だが、最初からどんなアウトプットを出すかということばかりに意識を向けず、本当の意味でデザインを通じて解決したいこと、提供したい価値を考えることで、正しいスタート地点に立つことができる。

我々はこの問いを「デザイン・チャレンジ」と呼び、How might we…?で始める。「実現可能なこと」や「やらねばならないこと」に問いが縛られないよう、「どうしたら〇〇できるだろうか?」というスタンスで問いをまず設定するのだ。

2. 不確実さと変化を許容せよ

IDEOと協働する日本企業の多くが、初期の段階でもっとも抵抗を感じやすいのが、「不確実な状況」をよしとすることだ。デザイン思考においては、様々なインスピレーションを得る過程で生まれる非連続の思考を大切にし、結論を急がない。前述の、「最初の問いかけ」さえも、この過程で変化していく。2017年にともにプロジェクトに取り組んだベビー用品メーカー、ピジョンの担当者は、振り返って次のように話している。

「従来の弊社のやり方では、各プロセスで曖昧な点を残してはならず、何でもロジカルに説明しなければいけない、と思っていたので、結論が見えない状況に不安を感じていました。でも、リサーチなどの過程で白黒をつけてしまっていたら、ここまでユニークなアイデアは生まれていなかったと思います。一旦曖昧なままでも動き出せるということを体感し、スピード感もかなり上がりました」

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IDEO Tokyoオフィス内、ピジョンのプロジェクトルーム

アイデアを出す過程で、度々結論を出すために検証や調査を繰り返し、なかなか前に進まないという状況は、大企業で開発に携わる方の多くが経験されていると思う。しかし、あえて曖昧な点、変化の余白を残しながら前に進むことで、予想もしなかったアイデアに行き着くことができるかもしれない。

文=田仲 薫(IDEO Tokyoデザイン・ディレクター)

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