今後、ARが様々な業界に変革をもたらすと予想される中、Jones はとりわけ小売業界が大きなインパクトを受けると考えている。アップルのCEO、ティム・クックも、ヴォーグとのインタビューで「将来的にARの重要性は、ウェブサイトを持つのと同じくらい高まるだろう」と述べ、ARがファッションショーや買い物のあり方を大きく変えると指摘している。
グーグルとアップルは、ARの普及を強力に推進している。AR技術は何年も前から存在していたが、スマホの普及によってマス層の手に届くようになった。2017年は、ARの普及が始まった「AR元年」として歴史に残るだろう。
アップルのARアプリ開発プラットフォーム「ARkit」と、それに対応したiOS11のリリースにより、iPhoneやiPadでもAR体験ができるようになった。グーグルも「ARcore」をリリースし、Android端末でARコンテンツを利用できるようにした。
ARの普及の背景には、スナップチャットのフィルターやポケモンGOを通じてARに馴染みのあるユーザーが増えていることがある。今後は、ARが多くのアプリに実装され、現実世界にデジタルレイヤーが加わることが当たり前になるだろう。
Digital Bridgeの調査によると、消費者の69%は小売店がARアプリを今後6か月以内にリリースすることを期待しているという。「消費者は驚くべきスピードでARに慣れている。彼らは、ポケモンGOでARを知ったばかりなのに、小売店舗でも利用できることを望んでいる」とJonesは話す。
グーグルの調査によると、ユーザーの34%はARを買い物に利用したいと回答しており、61%はARを提供する小売店を選ぶと答えている。「ARは小売りにおけるリアルとデジタルを再びつなげようとしている」とJonesは指摘する。
イケアや有名セレクトショップのアンソロポロジーはARkitのローンチパートナーに名を連ね、アプリにAR機能を実装した。彼らのアプリでは、実際の部屋にバーチャルな家具を設置することができる。他にも、WayfairやHouzzなど家具・インテリアの販売を手掛ける企業がARkitを導入している。