対象となるのは、ハンドバッグ「キャナイ エフ」(Kan I F)とショルダーストラップ「ストラップ ユー」の2アイテム。ユーザーはレザー、ロゴ、留め具の色を自由に選ぶことができ、「キャナイ エフ」は120通り、「ストラップ ユー」は70通りの組み合わせが可能だ。
「Customize It」の開始について、同社チェアマン兼CEOのピエトロ・ベッカーリは次のように述べる。
「この時代において、カスタマイズは我々のお客様にとって究極の贅沢の表現だ。フェンディ初のオンラインカスタマイズサービスを、『キャナイ エフ』と『ストラップ ユー』で始められることを嬉しく思う。ファーフェッチとの協力関係により実現したこのプロジェクトは、メゾンの大胆な創造性とパイオニア精神、そして特別なラグジュアリー体験を求めるお客様のニーズの融合を、デジタル的かつモダンにご紹介することができるまたとない機会だ」
カスタマイズサービスは近年、高級ブランド業界のトレンドだ。その昔、顧客一人ひとりの注文に合わせて作っていた頃のクラフトマンシップを現代に蘇らせる試みとも言える。デロイト・トウシュ・トーマツの調査によると、消費者の3分の1はカスタマイズに関心を持っており、そのうちの71%は余分に料金を払うことを厭わないという。
高級ブランドにとって最も取り入れやすいカスタマイズサービスは、型押し、箔押し、刺繍などによる名入れだろう。ルイ・ヴィトン、グッチ、バーバリー、ラルフ・ローレンをはじめ、名入れサービスを提供するブランドは多い。それに比べると商品本体のカスタマイズはハードルが高いものの、デジタルプラットフォームや製造技術の進歩によって以前よりも実現しやすくなった。
その動きの先陣を切ってきたのがファーフェッチだ。「高級ブランド業界で流行っているカスタマイズは、お客様にも人気が高い。自分好みの一品を注文することは、ファッション愛好家にとって究極の贅沢。我々はこれまで技術パートナーのPlatformeとともに、ニコラス・カークウッド、セルジオ・ロッシ、ドラティムール、スウェア、オープニングセレモニー x UMD、トーガ・プルラといったブランドと組んでそれを実現してきた」と、同社のジョゼ・ネヴェスCEOは話す。
「Customize It」はFendi.comとFarfetch.comの両方で受け付けており、購入者はレザーの色(バッグの本体は5色、ストラップのベースは5色、ストラップの花は7色)、ロゴの色(6色)、金具の仕上げの色(2色)、バッグのハンドルに巻くスカーフの種類(4種類)を選んで注文する。
製造は注文確定後に始まる。オンデマンド生産のため、フェンディは余剰在庫を抱える心配はない。また、素材を無駄にすることもない。この高効率で、よりサステナブルな生産体制こそが、ブランドをカスタマイズに向かわせる理由の一つだとファーフェッチは見る。
もっともフェンディの場合、製造そのものは伝統的な職人仕事だ。フィレンツェのアトリエにいる革職人が一品ずつ、丁寧に仕上げていく。そのため注文から発送まで12週間かかるが、大量生産品にはない味わいがある。