ディズニーは「スター・ウォーズ」の家族のドラマをどう描くのか?

(Photo by Jesse Grant/Getty Images for Disney)


そのジョージ・ルーカスが撮るSF大作ということで、「スター・ウォーズ」には公開前から大いに期待を寄せていて、しかもこれが全9部作の第4作にあたるものだということで、血沸き肉踊った。しかし、ルーカスはその後、全6部作に訂正して、2005年の「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」をもってシリーズを終了した。

ところが2012年、驚いたことにウォルト・ディズニー・カンパニーがルーカスフィルムを買収、新たな「スター・ウォーズ」3部作の製作が発表される。これで当初構想されていた全9部作に戻ることになったのだが、当のジョージ・ルーカスは新たな製作に関係することなく、しかも15年の「スター・ウォーズ フォースの覚醒」公開時には、新シリーズに対して、批判的な発言もしていた(ただしのちに発言を撤回している)。

いずれにしろ「スター・ウォーズ」は、前作の「エピソード7」より、ジョージ・ルーカスからウォルト・ディズニーの手へと渡ったわけだが、興行収入的にはディズニーでの第1作となった「スター・ウォーズ フォースの覚醒」は、ルーカス時代の最後の作品「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」の約8億4846万ドルをはるかに上回る約20億6822万ドルを稼ぎ、全世界興行収入で「アバター」、「タイタニック」に次ぐ20億ドル越えを達成した。

配給も20世紀フォックスからウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズに変更とはなったが、ディズニーのロゴは世界観を守るためオープニングにもエンドクレジットにも登場しなかった。

ディズニーに移ってからの「スター・ウォーズ」は、BB-8などの新キャラクターも導入され、より幅広い世代が楽しめる作品となった。なによりも象徴的なのは主人公が男性のスカイウォーカー父子から女性のレイへと変わったことだ。より多くの観客を狙うという意味で、この主人公が女性となったという設定は重要な意味を持つものと思える。

公開されたばかりの「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」でも、連綿と続いてきた「家族のドラマ」はさらに強化され、アクションシーンとは明確に切り分けられながら、じっくりと描写されている。全9部作の最終作となる予定の「エピソード9」(2019年公開予定)へと続く壮大な予告編ともなっている。

ディズニーの手に移り、新たな息吹が吹き込まれたとも言われている「スター・ウォーズ」。生みの親であるジョージ・ルーカスはこのシリーズ第8作の「最後のジェダイ」を「Beautifully Made」と賞賛したという。

文=稲垣伸寿

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