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2017.12.25

失墜する米国ブランド 2つの新調査で浮き彫りに

Business stock / shutterstock

トランプ大統領就任から約100日が過ぎた頃、私は「Is Brand America Tanking?(米国ブランドは失墜しているのか?)」と題した記事をフォーブスに寄稿した。政権交代を受け、米国に対する世界の認識が低下していることを示す兆候があったからだ。

私は、当時話したブランディングコンサルタントから「最終的な結論を出すのは、より確実なデータが出るまで待つ必要がある」と言われていたが、その「より確実なデータ」がこのほど、2つの全く異なる組織から発表された。

1つ目は、サイモン・アンホルトとGfKが共同で実施する「国家ブランド指数(NBI)」調査だ。同調査は過去13年間、50か国に対する認識を「統治」「輸出」「観光」「投資と移住」「文化」「人々」の6つの重要要素に分けて調査している。2017年の調査はトランプ政権誕生以降では初めてのもので、2万人以上を対象とし、先月公開された。

米国の総合国家ブランドは、昨年の1位から6位へと転落。「文化」面では昨年と同じ順位を維持したものの、その他の全ての評価項目で順位を落とした。米国を抜きトップ5に入ったのは、1位からドイツ、フランス、英国、カナダ、日本だった。

GfKのNBIグローバルディレクター、バディム・ボロスに話を聞いたところ、米国(またはその他の国)の世界での認識がこれほど大幅に後退したのは今回が2度目だという。「初めて急落したのはブッシュ政権最後の年、2008年で、米国は7位まで後退した。しかし、オバマ大統領になってからは回復した」

米国ブランドの失墜を示す2つ目の調査は、米商務省の旅行観光局(NTTO)が発表したものだ。同機関が11月後半に発表した報告書によると、海外からの米国訪問者数は2017年前半、前年同期比で130万人以上減少し、3.9%減だった。訪問者の出身国別に見ると、著しく低下したのはブラジル(14.3%減)、インド(12.9%減)、英国(6.2%減)、メキシコ(9.4%減)だった。

全米旅行産業協会(USTA)のロジャー・ダウ社長兼最高経営責任者(CEO)は「最新の政府データは旅行業界だけでなく、米経済の健全性に関心を寄せる人にとっては非常に大きな懸念だ。このデータが発する警告は否定できない。米国は、問題の修正に最優先で取り組む必要がある」と述べた。

編集=遠藤宗生

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