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2018.01.05

モルガン・スタンレーの「ロボットアドバイザー参入」が意味すること

Ken Wolter / Shutterstock.com

モルガン・スタンレーは、オンライン投資プラットフォーム「Morgan Stanley Access Investing」をローンチし、急成長するロボアドバイザー産業に新たに参入することになった。

ここ数年、ロボアドバイザーのパイオニア企業たちが金融大手に注目され始め、この分野の競争が激化している。銀行やアセットマネジメント企業にとって、ロボアドバイザープラットフォームは、彼らの金融商品を運用するための低コストの優れたチャネルなのだ。

モルガン・スタンレーの場合、新たなプラットフォームをローンチすることで、資産拡大、そしてアセットマネジメント部門の長期的経営を図ることができるのである。

「Morgan Stanley Access Investing」は、Betterment、Wealthfront、Personal Capitalといった既存のロボアドバイザー企業や、ブラックロック(FutureAdvisor)、バンガード(Vanguard Personal Advisor Services)、チャールズ・シュワブ(Schwab Intelligent Portfolios)などの大手アセットマネジメント企業のサービスと競合することになる。

2017年2月には、資産運用会社のライバル、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチがロボアドバイザープラットフォーム「Merrill Edge Guided Investing」をローンチしている。

ロボアドバイザーの隆盛

近年、アクティブ運用型ファンドの人気が徐々に下がる一方で、低コストの上場投資信託(ETF)が空前のブームとなるなど、世界のアセットマネジメント産業は大きく変わってきている。

ETFの成功の主な理由は、民間投資家からの支持にある。民間投資市場は、世界の運用可能資産の約3割を占めるにもかかわらず、そのサービスは十分ではない。個人投資家たちがファンドの経費率に敏感だというのがその理由だが、低額かつ利便性・透明性ともに優れているETFは、彼らの投資ニーズにうまくはまったというわけだ。

こうした個人投資家によるETF人気の上昇が、ロボアドバイザーサービスの急増につながっている。トレンドの発生理由は簡単だ。ロボアドバイザーが、安く、かつシンプルに使えるからである。

米国のアセットマネジメント企業は、投資サービスを提供するにあたってロボアドバイザーを早くから使い始めてきたが、ここ数カ月間で、銀行は独自のロボアドバイザープラットフォームを立ち上げるか(バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチやモルガン・スタンレー)、もしくは同様のプラットフォームを開発し始めている(JPモルガンやゴールドマン・サックス)。

こうしたプラットフォームは銀行にとって優れた金融商品の運用チャネルとなると同時に、彼らは既存の顧客にもプラットフォームを売り込むことができるだろう。

「Morgan Stanley Access Investing」の最小投資額は5000ドルで、モルガン・スタンレーが富裕層をターゲットにしていることが伺える。同社がロボアドバイザーサービスから得る手数料は0.35%。すなわち、10億ドルのアセットマネジメントを行えば350万ドルが入る計算だ。新たなプラットフォームは、モルガン・スタンレーの資産運用部門にポジティブな影響を与えるに違いない。

翻訳・編集=宮本裕人

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