生きる喜びを分かち合うという「シャンパーニュの精神」

アンダーズ東京で行われた「生きる喜び賞」(Prix Joie de Vivre)の授賞式

12月から新年にかけた今の時期は、世界中で、シャンパンがもっとも販売され、消費される。シャンパーニュ委員会の事務局長のヴァンサン・ペランさんによると、2017年のシャンパンの売り上げは大変好調で、出荷額ベースで、史上最高値に達する見込みだそう。

先月末、シャンパーニュ委員会による、「生きる喜び賞」(Prix Joie de Vivre)の授賞式とレセプションが開催された。第9回となる今回の受賞者は、映画化もされた「テルマエ・ロマエ」などの作品で有名な漫画家のヤマザキマリさん。

この賞は、国を越えて生きる喜びを分かち合う「シャンパーニュ精神」のシンボルとなる人物に贈られる。日本以外でも、イギリス、ドイツ、ベルギーなどで賞の授与がおこなわれている。

ヤマザキさんは、現在イタリア在住で、作品からもイタリアの印象が強いが、スピーチでは、「絵の道にすすもうと決意したのは、14歳のときにパリのルーブル美術館を訪れたのがきっかけ。フランスには感謝している」と、自身の原点となるフランスとの関係のお話を披露した。特別なときにはシャンパンを開けるという。

会場となったのは、東京タワーの夜景がきれいな虎ノ門ヒルズ・アンダーズ東京の51階。着物やカクテルドレス姿の女性も目立ち、レセプションでふるまわれた数々のシャンパンとともに、会場は華やかな雰囲気に包まれていた。ヤマザキさん原作の映画に出演した俳優の姿もみえた。

この日、シャンパーニュ地方からは、テタンジェ、マム・ペリエジュエ、サロン、ブルーノ・パイヤール、デュヴァル・ルロワといった著名な生産者たちが数多く出席しており、日本市場を重視している姿勢をうかがわせた。

実際のところ日本は、シャンパン輸出先として、2016年の出荷額ベースではアメリカ、イギリスに続く第3位。出荷量では第4位。安定した大手メゾン、個性あふれる栽培醸造家、協同組合のシャンパンなど、500以上のブランドが日本に輸入されている。そして、深い知識をもつソムリエやインポーターが、シャンパンや個々のブランドについての情報を提供している。敏感な日本の消費者にとって、いろいろなスタイルのシャンパンを楽しめる環境が整っているのだ。

主催した「シャンパーニュ委員会」は、シャンパーニュ地方エペルネに本拠地を置く半官半民の団体だ。日本には事務局も置いている。シャンパンが長い間、品質やブランドイメージの維持と向上に成功しているのは、この委員会の貢献が大きい。

その活動は、シャンパンに関する経済・法律・技術のすべてをカバーし、多岐にわたり、技術的な面でも重要な役割を担う。秋の収穫のときには、細かく村ごと、品種ごとに、ブドウの収穫開始日を決める。テーマごとに作業部会を設置し、例えば、環境への影響や持続可能な農業のリサーチを進めるなど、シャンパンの将来にかかわる活動も積極的に行っている。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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文=島 悠里

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