ウェイモは、自動運転車に対する不安を緩和するため、保険企業と提携して乗客に保険を適用することを明らかにした。同社は12月19日、オンデマンド保険を提供する「Trov」と提携し、数ヶ月以内にアリゾナで開始する配車サービスの乗客に保険を適用する。遺失物や運行の中断、医療費などが補償の対象となる。
Trovはドイツの保険大手ミュンヘン再保険会社が出資するオンデマンド保険企業だ。同社にとっては、今回が米国における初のプロジェクトであり、自動車分野で初めての契約でもある。「ウェイモは、個人のトランスポーテイションをより楽にしようと試みている。乗客の安全と安心感を重視しながら、保険など移動に関わる他の要素についても楽にしていきたい」とTrovのCEO、Scott Walcheckは述べている。
ウェイモは、グーグルが長年に渡って研究開発を進めてきた自動運転技術を商業化する目的で2016年に設立された。同社は、フェニックスでクライスラーのミニバン「パシフィカ」にセンサーやソフトを搭載して実験を繰り返してきたが、商用の配車サービスを開始することを11月に発表していた。配備される車両の台数や対象となるユーザー数など、詳細は明らかになっていないが、サービスのリリースは同社にとって大きな成果となる。
「革新的な技術には、革新的なパートナーが必要だ。Trovの先進的なサービスは、乗車ごとに保険をカスタマイズできるため、ライドシェアには最適だ」とウェイモでオペレーションの責任者を務めるShaun Stewartは述べている。
ウェイモは、アリゾナ州チャンドラーで、ユーザーを限定した自動運転車のテスト「アーリー・ライダー・プログラム」を年初から展開している。料金は無料で、安全のために人間のドライバーが同乗している。2018年中には無人化を実現し、料金を徴収する予定だ。金額の詳細については明らかになっていない。
車内の忘れ物にも保険を適用
自動運転技術の商業化を目指すウェイモにとって、今回のTrovとの提携は最新のニュースだ。11月には、米国最大の自動車ディーラー「AutoNation」と車両の保守サービスで提携し、レンタカー大手の「エイビス(Avis)」とも、フェニックス地域における車両の保守・管理でパートナーシップを締結した。また、複数の団体と共同で自動運転技術のメリットを訴えるキャンペーンを展開している。
ガートナーが最近実施したアンケート調査では、回答者の55%が技術欠陥への不安を理由に自動運転車に乗りたくないと答えている。しかし、まだ限られた人しか自動運転車を体験していないため、現段階で自動運転車に対する社会の受容性を予見することは難しい。しかし、少なくとも、自動運転車に荷物やスマホを忘れてきても、ウェイモが補償してくれることは確かだ。