一度着たら忘れられない、「ロロ・ピアーナ」のオーバーコート

モデル名は「マルティンガラ」。人気の「ロードスター・ジャケット」のロングバーションで、ゆったりとしたシルエットに。


森岡:ロロ・ピアーナにとって、素材がよいことは大前提で、さらにプラスアルファを考えている。外から見るとシンプルなデザインですが、縫製も手が込んでいます。仕様も美しく、パイピングの色もセンスがある。ラグジュアリーブランドのきめ細やかさを感じますね。すべてが計算ずく、そんな気がします。

小暮:でもそういった職人芸や素材に備わる機能もこれ見よがしではなく、隠し味的に使っている。それも老舗の余裕と言えます。それこそラグジュアリーの神髄とも言えますね。

森岡:ロロ・ピアーナとしては、素材づくり、ものづくりに集中している。しかも全力でつくりましたから、あとはどう着ても、これ1枚で絶対にサマになりますよ、と言っているような感じが伝わってきます。まぁ、これだけの素材、仕立てですから、着ている満足感が皮膚感覚で味わえるコートだと思いますね。

小暮:皮膚感覚かぁ。そういう発想はメンズのコートにはなかったような気がしますね。例えばトレンチコートというと、よろいに近い佇まいがありますが、このコートはそれとは真逆な存在なんですね。カシミア素材で一枚仕立てにしている理由もわかりますね。

森岡:この極上の素材、細やかな細部への配慮、快適な着心地。一度着れば絶対に忘れられないですよ、このカシミヤコートは。



森岡 弘(左)◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ現在に至る。

小暮昌弘(右)◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

text by Masahiro Kogure edit by Akio Takashiro photograph by Masahiro Okamura

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