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金融市場に関する記事を中心に執筆

AT&Tのランドール・スティーブンソンCEOとトランプ大統領(Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images)

米連邦議会の上下両院が法人減税案を可決したことを受け、同国の通信大手AT&Tは12月20日、米国内の従業員20万人以上に1000ドル(約11万3000円)の特別賞与を支給する方針を明らかにした。税制改革法が成立すれば、法人税率は現行の35%から21%に引き下げられることになる。

AT&Tのボーナス支給の対象となるのは、管理職を除いた労働組合の加入者と、現場レベルの管理職。ドナルド・トランプ大統領がクリスマス前に法案に署名すれば、休暇期間中にも支給するという。

同社はこのほか、減税が実施されれば来年中に、国内事業に10億ドルを投資する計画だ。ランドール・スティーブンソン最高経営責任者(CEO)は発表文で、「税制改革により、経済成長が促進され、高賃金の雇用が創出されることになる」との見方を示している。

テキサス州ダラスに拠点を置くAT&Tは、これまで積極的に税制改革を支持してきた。減税は米国企業の世界的な競争力を高めるほか、投資を促進し、経済成長を後押しすることになると主張。国内の雇用創出にもつながると訴えてきた。

企業はさらに「ため込む」との疑念

減税法案の議会通過を受け、即座に反応したのはAT&Tだけではない。地銀大手のフィフスサード銀行は、従業員の全てを対象に最低賃金を時給15ドルに引き上げるほか、1万3500人超を対象に1000ドルのボーナスを支給すると発表。大手銀行ウェルズ・ファーゴもまた、最低賃金を時給15ドルとする。

航空機大手ボーイングは慈善事業と従業員向けの投資に合わせて3億ドルを充てる考えを明らかにしている。同社のデニス・マレンバーグCEOは減税について、米国の「経済のエネルギーと高める」ことになると発言。税制改革については、「国内におけるイノベーションの推進、質の高い雇用の維持、設備投資の加速を実現するために実行し得る唯一の、そして最も重要なことだ」と述べている。

ただし、企業がため込んできた内部留保の使い道については、懐疑的な見方をする向きも多い。米議会は2004年、米国企業が海外で得た利益を国内に還流させることを促すための減税を実施したが、大半の企業は優遇措置の恩恵を自社株の買い戻しや配当の増額に充てていた。

12月初めに発表されたバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの調査結果でも、最も多くの企業が減税分の使い道として挙げたのは、「債務の返済と株式の買戻し」だった。これに比べ、「設備投資を行う」と答えた企業は少数となっている。

一方、従業員のための投資を行うには税制改革が必要だとする考え方を否定している企業もある。例えば、インテルは減税に影響を受けることはないという。同社のブライアン・クルザニッチCEOはフォーブスの取材に対し、「減税がなければわが社の従業員を適切に処遇できないと考えることを、私に対して望む人はいないだろう」と語っている。

編集=木内涼子

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