ビジネス

2017.12.22 08:00

セクハラ問題で苦境の米著名シェフに見る「企業と醜聞」の関係


ハーバード・ビジネス・レビュー誌は昨年、スキャンダルが起きた企業の元幹部は、そのポジションにあったのが問題発覚の以前だったとしても、転職後の報酬が他社に勤める同じポジションの幹部たちより平均4%低くなる可能性があるとの調査結果を発表した。

スキャンダルに見舞われた企業の対応が不道徳である、不完全である、と世間から見なされたとき、その企業には多くの場合、「組織」に対しての烙印が押されるという。こうした世間の反応は、企業に対しても個人に対しても同じだ。烙印を押された企業と関わりがあった企業の中には、離れていくものもあれば、状況を逆手に取って金銭面で利益を得ようとするものもあるだろう。

烙印を押された企業は、メディアで嘲笑されたり、寄付をしようとしても拒否されたり、従業員の士気の急落や人材の大量流出を経験したりするかもしれない。

さらに、烙印には「感染力」がある。当事者の企業の従業員だけでなく、何の関係もない同業他社にも影響が及ぶ可能性がある。スキャンダルを起こした企業の幹部たちが、個人として影響を受ける場合もある。その会社に勤めていたことが履歴書に記載されていれば、それだけで選考から外されることもあるのだ。欧州を拠点とするヘッドハンターによれば、傷がついた企業に関与していた人材を起用するのは、「あまりにリスクが大きい」という。

報告書によれば、企業に烙印を押すことは「合理的」なことではない。多くの人たちは、スキャンダルが起きた企業の元幹部と関われば、自分にもその影響が及ぶのではないかと恐れるのだ。人材の起用は幹部たちにとって、最も難しい仕事の一つだ。

ただ、スキャンダルに関しては他より寛容な文化もある。伝統的に性的な示唆を含む言動の多いレストラン業界がバターリを許すのかどうかは、まだ分からない。

編集=木内涼子

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