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2017.12.21

トランプ大統領の「自分ファースト」が強いる二正面作戦の苦悩

エルサレムをイスラエルの首都と承認宣言するトランプ大統領(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)


もう一つ、隠れた事実がある。日本とイスラエルは第2次安倍政権発足後、首脳往来を含めて急接近しているのだ。日本側はイスラエルのサイバーセキュリティーやドローン(小型無人機)など多くの先端技術を廉価で購入。日本の対テロ当局者は「日本はパレスチナ支援にも取り組み、アラブ諸国の多くも親日だ。しかしテロ組織やローンウルフ(一匹狼)のテロリストは、そんなことは考慮しないだろう」と懸念を隠さない。

一方、安倍政権が「国難」と位置付ける北朝鮮の核問題は、来年2月の平昌冬季五輪が終わるまで「大きな動きはない」というのが一般的な見方だ。しかしその後、例年行われる米韓合同軍事演習が控えており、緊張が一気に高まる可能性はある。北朝鮮が新たな弾道ミサイル発射や核実験を実施した場合、トランプ政権は国連安保理決議違反の物資を運んでいるとの情報がある北朝鮮行きの船舶の臨検を強行するとみられている。

米朝軍事衝突のシナリオは計算違いや先制攻撃までさまざまだが、こちらもトランプ大統領が自己中心的な理由で危機を引き起こした場合、出口戦略の確保は難しくなる。その時、北朝鮮から日本へ何が飛んでくるのか。

安倍政権のある高官は「北朝鮮のミサイルが米国に届かなくても、日本には着弾する。それに核弾頭が搭載されていないと誰が言い切れるのか」と警告している。

文=水本達也

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