12月上旬、映画情報サイト「デッドライン」が、タランティーノが「スター・トレック」シリーズの次回作を監督する可能性があると報じた。マイク・フレミング・Jr記者によると、タランティーノは同シリーズを製作するパラマウント映画とプロデューサーのJ・J・エイブラムスに自身の構想を売り込んでおり、製作陣はタランティーノを監督に据える前提で脚本家チームを集めようとしているという。
タランティーノと人気長寿シリーズの組み合わせは一見突飛なアイデアのようだが、タランティーノは過去に007シリーズに関心を示していた時期があり、またドラマ「ER緊急救命室」や「CSI:科学捜査班」の演出も手がけた経験がある。長編3作目の「ジャッキー・ブラウン」もエルモア・レナードの小説「ラム・パンチ」が原作だった。
パラマウント映画にとっても、これは願ってもないチャンスに違いない。ジム・ジアノプスが率いる同社は、この2年近く大ヒットに恵まれていないからだ。「スター・トレック」シリーズは1本あたり1億1500万ドル(約130億円)から1億1900万ドル(約134億円)の製作費がかかる超大作だが、マーベルの人気作に匹敵する全世界興行収入は上げられていない。
「トランスフォーマー」シリーズは先行きが見えず、ジェームズ・キャメロンとティム・ミラーが進めているという「ターミネーター」のリブートも具体的なスケジュールは未定。「ミュータント・タートルズ」シリーズも大成功したとは言えず、好調なのはトム・クルーズ主演作くらいだ。
もっともタランティーノが「スター・トレック」シリーズに参戦したところで、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」並みの記録を出す可能性は低い(おそらく「猿の惑星」シリーズにも届かないだろう)。タランティーノの過去作の中で最もヒットしたのは、2012年の「ジャンゴ 繋がれざる者」(全世界興行収入4億2500万ドル=479億円)と2009年の「イングロリアス・バスターズ」(同3億2100万ドル=約361億円)で、オリジナル企画にしては健闘した方だが、クリストファー・ノーランの「ダンケルク」や「インターステラー」などには及ばない。また、過激な描写で知られるタランティーノがPG-13指定の映画を撮るという試みは興味深いものの、タランティーノと「スター・トレック」のそれぞれのファンの期待に応えられない危険性がある。