トスカーナ流ワイン生産に学ぶ、仕事と人生で大切なこと

トスカーナのブドウ畑(Photo by Tim Graham/Getty Images)


一瞬をつかむ創造的プロセス

ジャキが創造力を得るのは、五感のいずれかが刺激された瞬間だ。匂いや美しい写真、素晴らしい食事など、「創造的なプロセスが始まるのは必ず、感覚が呼び起こされたとき」だという。次に彼は同僚と協力し、その瞬間をワイナリーの商品として封じ込める最善の方法を考える。「私たちは、楽しいだけでなく、忘れなられない経験として心に永遠に刻み込まれるような商品や瞬間を作り出すべく尽力している」とジャキは述べた。

ジャキいわく、ワイン作りとビジネス界には多くの共通点がある。「どちらも非常に体系的。継続的なイノベーションと何がうまく機能するかの分析が求められるが、最終的に重要となるのは結果だ」。彼の経営者に対するアドバイスは、日常のささいなことに惑わされず、ただ過程を楽しむことだという。

トスカーナ流の生活を送るメリット

一瞬一瞬を楽しめるようになるのが、トスカーナ流の生き方の大きな部分を占めている。「私は米国で長く過ごした経験があるが、仲間の事業主や経営者たちは、現在生きている瞬間を反すうして楽しむどころか、自分自身のための時間さえ取れない人ばかりだ」とジャキ。トスカーナ流の生活スタイルは、夕日を楽しむ、新鮮な朝の空気を吸い込む、家族と昼食・夕食を共にする時間を作ること。これらはジャキにとって優先事項だ。

ジャキから米国で働く人へのアドバイスは、1日に36時間も働こうとしないこと。「1日は24時間しかなく、睡眠は8時間必要なことを忘れてしまっている」とジャキ。億万長者にはなれるかもしれないが、仕事でストレスを抱え過ぎて人生を楽しめなければ、全く意味がない。ジャキにとって、ワイン作りと事業経営は仕事ではない。「それは人生だ」と彼は語る。

編集=遠藤宗生

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