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なぜ、今「CIデザイン」なのか?


ここで注目したいのは、ロゴへの批評が往々にして「見た目」の話に終始している点です。

人の好みは千差万別で、企業を象徴するロゴともなると、好みがわかれることは避けられません。そこではじめから万人に受け入れられることを念頭に置きながら「らしさ」を作ることは至難のわざです。

私たちが(本当に)共感してほしいこと

短命に終えたギャップのロゴと今も愛用されるエアビーアンドビーのロゴ。明暗を分けたのは何だったのでしょうか? ここでふたたび登場するのが「思想」です。

繰り返しになりますが、エアビーアンドビーのロゴで用いられたキーワードは彼らの思想に由来します。デザインの表現手法が幾多あったとしても、その思想が変わらない限り、そのデザインは「なるべくしてなった」ものであり、彼らが思い描く世界の前では、見た目に対する批判は取るに足らぬ存在です。エアビーアンドビーは好みや相対性で評価されるのではなく、彼らの持つ信念や世界観を評価し、共感してほしかったのです。

ロゴはたびたび企業の「顔」にたとえられますが、CIデザインにおけるロゴは声を放ち、組織の持つ意志を表明することができます。一貫性のある制作から生まれたロゴは、見た目の良し悪しを超えた本質的な存在であり、模倣や比較が難しく、ブランドにとって大きな差別点となります。思想をたぐり寄せてつくられたデザインは、見た目の美しさ以上の強度を持つのです。

インターネットやスマートフォンの登場によって、人が接するプロダクトの数はそれ以前に比べて爆発的に増加しています。2007年にiPhoneが誕生するまで、今日私たちがスマートフォンで使っているサービスは存在しなかったか、限られた人たちのものでした。

企業やプロダクトが溢れる現代、その優位性は一体どこに存在するのでしょうか?

私はその背後にある思想と表現力、すなわちCIこそが1つの武器になると考えています。市場において、“ブランド”は自社を選択してもらう理由であり、デザインはブランド力に大きな影響を及ぼします。しかし ”見た目の” デザインだけで人の心をつかむのは容易なことではありません。より広義で芯の通ったデザインこそが、自社と生活者を結びつけることができ、「CIデザイン」はこの役割を担う存在だと考えています。

次回は、CI設計における重要要素「普遍性」と「時代性」について、2010年代のトレンドを交えながらご紹介する予定です。

文=タカヤ・オオタ

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