ダークウェブ界のグーグルと呼ばれた「Grams」がサービス終了

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2014年、インターネットの地下空間を検索可能にする、ダークウェブの検索エンジン「Grams」が始動した。シンプルなサイトのデザインやロゴは、明らかにグーグルを意識したものだった。しかし、検索結果はグーグルのそれとは全く別物だった。

Gramsのゴールはネットの地下空間をインデックス化し、闇市場へのアクセスをもたらすことだった。サインアップすれば、通常は人々の目にふれない様々な情報を入手できた。

Gramsはまた、ネットの地下で何が行われているかを知るためのベストな場所でもあった。2015年に「Quartz」の記者、Keith CollinsはGramsを検索し、様々なドラッグの相場を調べた。1グラムのコカインは多くの場合、50ドル以下で販売されていた。MDMAに関しては2007件の出品があり、価格の中央値は37.07ドルだった。覚醒作用を持つ処方薬のアデラールは、30ミリグラムの錠剤の3パックセットで販売されており、価格の中央値は183.46ドルだった。

しかし、そのGramsがとうとうサービスを停止することになった。掲示板サイト「Reddit」にDouglas Adamaと名乗る管理人からのメッセージが掲載された。

「今から1週間後にGramの全サービスを終了する。最高のサービスを実現しようと奮闘してきたが、これ以上運営を続けることは難しい。ここ1年は個人的にも困難に直面し、金銭面でも苦労した。

自分にとってはこれがベストな選択だと信じている。1週間の猶予期間のうちに、資金やデータを引き上げてほしい。Gramsは12月16日をもって終了し、残ったビットコインはいくつかの寄付サイトに送ることにする。特定のサイトへの寄付を呼びかけたい人は、コメント欄で知らせてほしい。みなさんの安全をお祈りする」

Gramsの利用者らは落胆していることだろう。管理人はサービス終了の理由が、運営コストの問題にあると述べ、当局の捜査が原因ではないとしている。「競合サイトに多くのビジネスを奪われ、決済手数料も値上がりし、黒字化は難しいと判断した」

検索エンジンとして始動したGramsはその後、ダークウェブ上の業者の信頼性を担保する「Infodesk」というツールを開発。さらに、「Helix」というビットコインの決済サービスも備えていた。

Gramsの終了のタイミングは、ネットの中立性の終焉が、様々な分野に影響を与え始めた時期と重なっている。Gramsには様々な問題もあったが、ダークネットへのアクセスを民主化したという点で意義深いサービスであり、その終了は惜しまれる。

編集=上田裕資

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