ビジネス

2017.12.26

経営者とマーケターがわかり合えない理由

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例を挙げよう。マーケティング部門にはデジタル広告管理ツールのデータがあり、他部門には売上・購買データがある。マーケターは広告管理ツールには自由にアクセスできるが、売上・購買データにはアクセスできないとする。この状態ではどのキャンペーン施策が結果的に売上に貢献したかの把握が難しいためレポートに含めることはできない。結果としてマーケターは広告管理ツール内の世界にしか目を向けなくなってしまう。

こうした状況を回避するには、次に挙げる3つのステップを通じて、自社のマーケティング部門が経営者目線を持てるように経営者側から積極的に働きかける必要がある。

1. 部門を横断したビジネス状況の可視化
先に例示したように、一般的にマーケティング部門からは他部門の状況が見えにくい。マーケティング、営業、カスタマーサポート、財務などあらゆる部門のビジネスの状況を、横断的かつリアルタイムで自動集約し、さらに共通化された指標で見えるようにする。


部門を横断し、可視化されたビジネス状況の例提供:Domo

2. リアルタイムの共有と議論
ステップ1で集約・統一されたデータに基づく気づきの共有とその最適化を、部門横断的かつリアルタイムに協力して進める文化を作る。特に初期段階では、リーダーが率先して積極的にコメントし、コラボレーションの風土を醸成するのが効果的だ。月次や週次のミーティングまで待っていては手遅れになる。


リアルタイムでデータを共有して協業を進めるイメージ 提供:Domo

3. フォーキャストの可視化と共有
いま取り組んでいる施策が、いつ頃、どのようなビジネス結果として回収できるのかという「フォーキャスト(予測)」をリアルタイムで可視化し、共有する。あらゆる関係者がフォーキャストに基づき判断しアクションを起こすことができるだけでなく、マーケターにとって、自らが経営に影響を及ぼしているという大きな意識改革に役立つ。

経営者とマーケター間のコミュニケーションが円滑になれば、経営者はより適切な投資判断を行いやすく、マーケターは予算やリソースの確保等の支援を得やすくなる。実際に筆者もクライアントである旅行業界のデジタルマーケターから、「経営層にフォーキャストを提示できるようになってからは格段に予算確保がしやすくなった」と伺った経験がある。

経営者、マーケターともに、互いにフラストレーションを抱えたままでいるのはもうやめて、双方の努力で歩み寄ってはどうだろうか?

文=斉藤梨沙

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