ビジネス

2017.12.26

経営者とマーケターがわかり合えない理由

shutterstock.com

「2017年までに、情報システム部署よりマーケティング部署のIT予算が上回る」。今年は、米国の調査会社ガートナーが2012年に行ったこの衝撃予測のリミットの年だった。

この予測が正しいか否かはさておき、この数年、企業のデジタル投資はグローバルレベルで急拡大し、それと同時にマーケティングへの期待も高まってきた。しかし、その投資対効果がいまだわかりにくいと嘆く経営者も少なくない。

マーケターは、日々多くの手間と時間をレポート業務に割いているはずなのに、なぜマーケティングの貢献は正しく認識されないのだろうか? 答えは、経営者の関心事とマーケターの報告内容のズレにある。しかも、そのズレはかなり大きい。

多くの場合、経営者は報告に対しビジネスへのインサイト(経営者目線での提案や気付き)を求める。しかしマーケターからのレポートは単なる業務報告になりがちで、経営者目線は欠けている。このままではビジネスレビューを何度繰り返しても、マーケターは経営層からの理解や支援を得られず、経営層もまた経営判断に必要なインサイトをマーケターから得られない。

このギャップを埋め、互いのフラストレーションを解消するには双方に努力が必要だ。では、具体的に何をしなければならないのだろうか。

まずマーケターが取り組むべきは、以下に挙げる経営者の関心事を理解することだ。また、経営層が求めているのはあくまでインサイトであり、単なる報告ではない点を忘れてはならない。

・ビジネスへの貢献度と投資対効果
投資が期待値通りのビジネス成果(売上・利益)につながっているか。予算の使い方はROIや全体の営業費用の観点から適切かどうか。

結果に基づいて起こすべき次のアクションや戦略
積極投資すべき、あるいは投資中止をすべき施策・領域のトップ3は何か。

フォーキャストと投資判断
目標達成のために現状の計画でリスクはないか。今後、何にどの程度マーケティング投資を行うことで、いつの段階で案件化や売上としての回収が見込めるのか。

しかし、正直なところマーケティング部門が経営者目線を持つのは簡単ではない。なぜならマーケティング部門の多くは、自社のビジネス全体像や、他部門が互いにどのように影響しあっているのかを見える状況にはないため、結果として自分の目の届く範囲でしかものを考えなくなるためだ。
次ページ > マーケターの経営者目線を養う方法

文=斉藤梨沙

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事