「孫活」で高まる子供のがん発症リスク、英研究が指摘

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断っておくが、これは義理の両親を家から追い出す言い訳になるものとして発表された研究結果ではない。米科学誌プロスワンに先ごろ掲載された論文によると、祖父母と一緒に過ごす時間があった子供の方が、後にがんを発症するリスクが高いことが分かった。

英スコットランドのグラスゴー大学とエジンバラ大学、スターリング大学と英国民保健サービス(NHS)の研究者らは共同で、入手可能な過去の研究結果を全て見直し、分析(システマティック・レビュー)を行った。その結果、祖父母たちに見られる一般的な行動の多くが、孫の健康には良くないことが確認された。さらに、祖父母のそうした行動の多くは、孫の親たちとの力関係にも関連があると見られることも分かった。

祖父母たちには、孫の関心をより強く自分たちの方に引きつけ、愛情を得たいという気持ちがあるのかもしれない。そのために、次のようなことをしてしまうのだと指摘される。

・食べ物を与えすぎる
・健康に悪い食べ物を与える
・テレビなどを長時間見ていること、動かずにいることを許す

親が子供に認めない行動を許してあげることは、孫からの感謝や愛情を獲得するための簡単な方法だ。また、祖父母たちは自分の子供には厳しくしすぎたとの気持ちから、孫には余計に甘くなってしまうのかもしれない。

一方、祖父母の日常的な習慣が、孫に悪影響を与える場合もある。喫煙がその一つだ。喫煙する祖父母のそばにいれば、孫には受動喫煙のリスクがある。さらに、孫がたばこを吸い始めるきっかけになる可能性もある。

こうした祖父母の行動は全て、孫の肥満、不健康な食事、運動不足、喫煙につながる可能性がある。これらは全て、がんの発症リスクを高めるものだ。

こうした危険性をなくすための解決策は、必ずしも祖父母から孫を遠ざけることではない。祖父母が孫の健康に悪影響を与えていないか、親が注意しておく必要があるということだ。子供(孫)の健康について祖父母と率直に話し合い、親が子供の食事や運動、その他の日常的な習慣についてどのように考えているのかを祖父母たちに伝え、調整を図る必要がある。

このとき親たちは、自分の両親や義理の両親との間に働く力学や互いに競い合う気持ちが、結局は祖父母と孫の関係に影響を与えてしまう可能性があるということに注意しておかなければならない。

家族(義理の家族を含む)全員が、子供にとって何が最も有益であり、健康的であるのかについて、考えを共有しておこうとすることが重要だ。両親や義理の両親と最善の関係にあるとはいえない人たちも、子供(孫)にとって良いことは何かという点では、同意ができるはずだ。

この記事を読んでいるあなたが孫の立場なら、おじいちゃんやおばあちゃんたちには、あめやテレビを見る時間であなたの愛を買おうとする一面があることに注意しておくことだ。それらはお断りして、代わりにお小遣いをもらっておいた方がいい。

編集=木内涼子

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