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2017.12.16

マセラティ新型車をチャーター便で空輸 一大イベントの舞台裏

成田空港貨物ターミナル地区内の整備工場内で行われた新型車公開イベント

少し肌寒くなった10月中旬、イタリアの高級自動車メーカー、マセラティは成田空港でユニークなイベントをを行った。

イタリア・ミラノからチャーター機で成田空港に直送した新型車を、空港貨物ターミナル地区内の整備工場内で公開したのである。空輸したのは、2ドアクーペ「グラントゥーリズモ」とオープンカー「グランカブリオ」の2車種、計28台だ。

一気に28台である。空輸でそんなに運べるのか? と思うのだが、輸送に使用したジャンポジェット機は、200トンまで運ぶことができるのだそうだ。マセラティ1台2トンとしたら、56トン。重量的にはまだまだ余裕がある。

ただ、そのスペースを確保するのが大変で、通常のエアカーゴは、クルマ以外のものも運んでいるので、一気にこれだけの数というのは、本当にレアケースなのだという。今回は、一機まるごとチャーターしたことで実現した。

その行程は、まず「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」を生産しているイタリア・モデナ工場からミラノ・マルペンサ空港まで陸路で運ぶことから始まった。

ここで、モデナ工場の説明をしておこう。モデナ工場の敷地にはマセラティS.p.A本社と「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」を生産する工場が置かれている。

正面の門をくぐるとガラス張りの近代的な本社社屋があり、エントランスでは、展示されたマセラティカーやエンジン、ステアリングなどが迎えてくれる。工場はその奥にあるのだが、これは打って変わってクラシカルな佇まい。外観は赤煉瓦で、えんじ色一色である。聞けば、1939年に建てられた工場だという。



もちろん、古さは感じるのだが、それにしてはとても綺麗である。内部も近代的というわけではないが、とてもクリーンなのだ。ここでは日産20台のマセラティが組み立てられている。

その規模感からすると、もう少し手作りラインが敷かれてるのかと思ったが、工場全体にコンベアの自動ラインが導入されていた。それでも手作り感のある工場である。

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少し長めに作業を見ていたのだが、ひとりの作業員の組付けが上手くいってない時は、すかさずベテランがフォローに入り、納得いくまで修正作業を行っていた。その間、コンベアラインは動かしてない。もちろん、最新の工具を使っているのだろうけど、こういうところに人間味というか、人が作っている感がするのである。
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文=福留亮司

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