ゆったり、ゆっくり、人と親しむハバナ流の外交術

Carlos M. Pereira◎2016年キューバ共和国特命大使として着任。日本とキューバのさらなる良好な関係継続のため、野球、柔道などのスポーツから、シガー、酒などの特産品、音楽などのカルチャーに至るまで積極的な文化交流活動に参加している。

日本の喫煙人口は1917万人(2017年JT調べ)。これは20歳以上の青年人口のおよそ20%弱にあたる数字だが、シガーをたしなむ人口といえば、さらに少ないに違いない。

「紙巻たばこはストレスを感じるときに吸いますが、シガーはリラックスするために吸うもの。まったくの別物ですから比較されるのは心外です」と話すのはカルロス・M・ペレイラ特命全権大使。昨年キューバより日本に赴任してきた。

「ハバナ産シガーはキューバの主要な特産品のひとつ。大切な友人と酒を酌み交わしながらシガーを吸うのは最高です。サイズや巻き方にもよりますが1本吸い終えるのに30分以上はかかりますから、その時間をいかにリラックスして過ごすか、が肝要。シガーは時を楽しむ贅沢な嗜好品です」
 
この日は、キューバ産シガリロ(紙巻たばことほぼ同サイズで簡易な葉巻)とキューバラム「ハバナクラブ7年」のマリアージュカクテルコンテストに審査員として参加。全国から選び抜かれた5名のファイナリストバーテンダーのカクテルとシガリロのマリアージュを味わい、吟味した。


マリアージュカクテルコンテストでは5名のファイナリストがそれぞれシガリロと「ハバナクラブ7年」の極上マリアージュを追求した。

「紙巻たばこのような感覚で気軽に吸うシガリロなら葉巻初心者の方にもおすすめ。熟成させたラムと一緒ならなお味わい深いでしょう。今日はキューバを思い出す食材や香りにたくさん出会えて、少しホームシックになったかもしれませんね(笑)」
 
キューバではシガーは外交のツールとしても用いられ、トップ同士の会談後や、正式な晩餐会のあとで、シガーをともにくゆらす時間が用意されているという。

「たとえタフな交渉のあとでも、一緒にシガーを吸えば互いの距離が縮まり、胸襟を開いて本音で語り合うことができるのが良いところ。1本のシガーをゆったり吸うか、せわしなく吸うかでその人の人間性が見えることもあり、興味深いのです」
 
話しながら「1本いかが?」と勧めてくれたシガリロにライターで火を点けた。しまった、せっかくの葉巻だからマッチにすればよかったか。些末なことを気にする筆者の小人物ぶりをペレイラ大使は横目で見て、クスリと笑った。ハバナ流の外交術にはまった瞬間だった。


紙巻たばこ感覚で据えるシガリロは場所を選ばず吸えて、シガー入門者にもおすすめ。CHOIBA SHORT(10本入り)2500円、MONTECRISTO OPEN CLUB(10本入り)1500円、PARTAGAS SERIR CLUB(10本入り)1400円 / インターコンチネンタル商事シガークラブ事業部(03-6230-2950)

文・構成=秋山 都 写真=吉澤 健太

この記事は 「Forbes JAPAN CxOの研究」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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