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2017.12.29

外国人記者が考えた「うんこ漢字ドリル」大ヒットの理由

Nong Mars / shutterstock.com

子どもが漢字を学習するドリルが、日本で2017年のベストセラーになった──。日本語は世界で最も難しい言語の一つであり、子供たちがその習得に苦労することは不思議ではない。しかし、今年の教育分野のベストセラー1位が「うんこ漢字ドリル」だったのは驚きだ。

このドリルは、小学校全学年で習う漢字1006文字をカバーし、全ての例文に「うんこ」が含まれている。眼鏡と口ひげをつけた黄色い「うんこ博士」もキャラクターとして登場する。このドリルは日本中の書店に置かれ、9月末までに276万部が売れた。

欧米では不快で下品なテーマとして扱われる大便が、日本ではユーモアのニュアンスを持っていることがヒットの理由の一つだろう。日本では絵本作家の五味太郎の「みんなうんち」も名作と評価されている。

出版社の文響社によると、著者の古屋雄作は当初、若者向けに「うんこ」をテーマにした詩集を出すつもりだったが、出版社社長がより教育的要素を含む内容に変えるよう求めたという。

その結果できたのが漢字ドリルだ。初版は3万6000部だったが、母親たちがドリルの写真をSNSに投稿したことで、勢いがついた。報道によると「うんこ漢字ドリル」は3月の出版後、数週間で4万回以上ツイートされたという。

子どもが漢字を楽しく学べるよう、例文も工夫もされている。例えば、「働」の漢字は、「アメリカのうんこ研究所で働きたい」「ねむかったが、うんこをしたら頭が働いてきた」といった例文で学ぶようになっている。

出版社は、内容が波紋を呼ぶことも意識し、あとがきに「漢字ドリルの例文は、学習にユーモアを盛り込んで、お子さんの学習意欲を高められるようつくっています」と添えた。

このドリルは漢字を楽しく学べるようにしている。日本語を学ぶ外国人にも役に立つかもしれない。テーマはくだらないが、ドリルのできは秀逸だ。

編集=上田裕資

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