他人の手柄を横取り 自分よがりのリーダーが陥る落とし穴

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他人の達成したことを自分の手柄にする癖のあるリーダーは、読者の皆さんの身近にもいるかもしれない。こうした行動の理由は大抵、自分を周りより有能、勤勉、あるいは賢く見せることにある。

現実問題として、仕事で誰が本当に評価されるべきかを正確に特定するのは難しい場合が多い。新規プロジェクトの全作業を担ったのがリーダーだったとしても、プロジェクトに割り当てる時間の捻出のために、直属の部下が他の仕事を多数抱え込まざるを得なかった、ということも多々ある。

しかし、他人の功績を自分のものにすることは、出世のための戦略として効果的なのだろうか? 逆に全ての手柄を周囲に受け渡した場合、どういう影響があるだろう? その分析のため、私が社長を務めるリーダーシップ開発支援企業、ゼンガー・フォークマン(Zenger Folkman)では、3800人以上のリーダーのデータを集め、マネジャーや同僚、直属の部下、その他からの360度評価を通し、リーダーたちの能力を測定した。

調査では各リーダーを、他人の手柄を横取りする傾向がある人、他人に手柄を与える傾向がある人に分けて評価。またリーダーとしての有能さも、49の行動基準を使用し評価した。各リーダーに対し平均10人から能力評価を集め、さまざまな視点からのフィードバックがあるようにした。

その結果、他人の手柄を自分のものにする傾向が見られたリーダーの能力水準は13パーセンタイル(全体を100としたとき、下から13番目)となり、非常に低能との評価だった。一方、手柄を他者に与えるよう努力していたリーダーは、非常に有能なリーダーだと評価され、85パーセンタイルとなった。この結果から、自分が手柄を得ようとすると大きなマイナスになるが、他者に手柄を与えるようにすれば良い影響があることが分かる。

他人の功績を横取りしたときに生じる影響

他者の手柄を横取りすれば悪影響があることを疑う人は少ないだろう。それでは、手柄を自分のものにするリーダーと他人に与えるリーダーの差が最も顕著に出る行動は何だろう?
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編集=遠藤宗生

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