ユタ州のユニコーン「クアルトリクス」に元MS幹部が移籍

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マイクロソフトで約25年にわたり重要な職務を務めたジュリー・ラーソン・グリーンが、米ユタ州のユニコーン企業「クアルトリクス(Qualtrics)」に移籍し、同社のCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)に就任することが明らかになった。

クアルトリクスは2017年4月に企業価値25億ドル(約2800億円)の評価を受けており、クラウドを通じたデータ解析ソリューションを提供している。ラーソン・グリーンは同社の第2オフィスであるシアトル本社に勤務し、CEOのライアン・スミスの直属となる。

CXOとしてラーソン・グリーンはプロダクトデザインやエクスペリエンス、社内のオペレーションや採用面をコントロールする。

「彼女ほど素晴らしい経験を持つ人物を会社に招き入れられて、非常に光栄だ」とスミスCEOは声明で述べた。

ラーソン・グリーンはマイクロソフト時代にウィンドウズ関連のソフトウェア及びハードウェアの責任者を務め、オフィスにAI(人工知能)関連ツールの導入を進めてきた。「これまでの経験を活かし、新たなスタートアップでメンターとしての役割を果たしたい」と彼女は述べている。

ラーソン・グリーンのクアルトリクスへの参画は、研究者である彼女の夫が空港で偶然、スミスに出会ったことがきっかけだった。夫は大学でクアルトリクスのプロダクトを使っており、二人は連絡を取り合うようになった。その数ヶ月後、マイクロソフトで開催されたイベントでラーソン・グリーンはスミスと会い、彼女の夫がクアルトリクスの製品を気に入っていることを伝えたという。

「クアルトリクスは慈善事業にも熱心で、優れたビジョンを持っている。データ解析分野での成長を確信している」とラーソン・グリーンは述べている。

クアルトリクスが始まったのは2002年。スミスの父親はユタ州のブリガムヤング大学の研究者を務めており、同社は当初から研究者向けの調査研究ツールを提供してきた。その後、2012年に初めて外部資本を入れ、幅広い分野で利用可能な予測分析ツールを開発。2017年3月には「エクスペリエンス・マネジメント」という新ソフトを発表した後、ローデータから改善施策につながるインサイトをわずか数クリックで導き出すことができる予測分析ツール「Qualtrics iQ」の提供を開始した。

IPOの噂は否定

クアルトリクスは昨年10月には元マイクロソフトのZig SerafinをCOOとして招き入れ、今年11月にはIPO経験を持つ人物をCFOに加えている。

今回、ラーソン・グリーンが加わったことでさらに強固なマネジメント体制が出来上がったことになるが、スミスによると「これが即、IPOにつながるものではない」という。クアルトリクスには以前からIPOが噂されていたが、「去年の時点でも上場は可能だった」と述べている。

CXOとしてラーソン・グリーンは、エンジニアリング部門やマーケティング部門などを統括し、クアルトリクスの製品を磨きあげていく。

「カスタマーサービスであったり、ユーザーエクスペリエンスであったり、会社の様々な部門と関わることになるが、顧客にとって最高のプロダクトを提供することが私の任務だ」とラーソン・グリーンは述べた。

編集=上田裕資

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