かつては、最も人気のある投資先といえばアパートだった。不動産投資における”金本位制”である。そうした不動産業界の状況が変わってきたのには、多くの理由がある。だがご想像の通り、そのひとつはミレニアル世代だ。
ミレニアル世代には、一軒家を借りるだけの経済的余裕はない。しかし彼らは、実家からは出たいと考えている。こうした背景からアパートの需要は高まってはいるものの、若者の雇用が伸び悩んでいるため、アパートが余るという状況が生まれている。
「ラグジュアリーでないこと」が魅力になった
では、なぜいま、REIT(不動産投資信託)はトランクルームにフォーカスしているのだろう?
ひとつには、それが不況に強いからだ。24歳のときにトランクルームビジネスで24億ドルを稼いだ米国の実業家、ブラッドリー・ウェイン・ヒューズがそのことを証明している。(現在のトランクルーム人気を見れば)彼が行ったことは正しかったと認めざるをえないだろう。
不景気の時代に、人々はラグジュアリーなアイテムを、そこまでラグジュアリーではないものに置き換えてきた。そしてもちろん、トランクルームはラグジュアリーじゃない。しかし時代とともに、「ラグジュアリーでないこと」が魅力に変わってきたのだ。
実際、リーマンショックのあった2008年に5%のリターンがあったREITの部門は、トランクルームだけだった。我々は、これが象徴的な出来事だと考えている。
私たちはみな収納スペースを必要とするため、その必要性は普遍である。だからこそ、2015年にトランクルーム業界の証券価値は40%のプラスとなった。ほかの部門では0〜8%アップが多かったにもかかわらず、だ。2017年、リターンの観点からいえば、トランクルームはREITのなかで3番目に大きい。そしてもう一度言うが、我々はこれが象徴的な出来事だと考えている。
トランクルームサービスをやるためには多少の資金と維持費を必要とするが、税金はそこまで高くなく、購入者は殺到する。そして古き善きトランクルームとは、信頼できる長年のパートナーのような存在である。少しくらい嫌なところはあっても、どこかに行ってしまうわけではないのだから。