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2017.12.11

トランプの「象牙の持ち込み」解禁令、反発を浴び保留に

Photo by Getty Images

米国のトランプ政権は狩猟愛好家らが、アフリカで仕留めた象の象牙の米国内への持ち込みを解禁する決定を行ったが、強い非難を浴びてこの措置を保留とした。オバマ前大統領は2014年に象牙の輸入を禁じていた。

象は米国の「絶滅危惧種保護法(ESA)」で絶滅の危機に瀕する動物に指定されており、トランプ政権が進めようとした、象のハンティングを奨励する動きはこの法と矛盾する。政府の担当者は「合法的で規制が行き届いた狩猟により、地元に利益がもたらされ、野生生物の保護をもたらす」と述べていた。

世界の象の個体数は現在40万頭程度まで減少している。共和党出身で米内務省長官を務めるライアン・ジンキは今年9月の次のように述べていた。「子供の頃、父や祖父たちと一緒にハンティングや魚釣り出かけたのは良い思い出だ。私は自分の子供にも狩猟を教えた。もっと多くの人々にこの楽しみを知ってもらいたい」

米国で合法的ハンティングはたしかに一般化しているが、環境保護意識の低い海外の国に出かけて、絶滅の危機に瀕している動物の狩りを行う行為には批判が高まっていた。

今回の政府の動きは、象牙の輸出入を禁ずる国際条約とも対立していた。「米国はこれまで、アフリカの動物保護活動でリーダー的役割を果たしてきた。トランプの決定は非常に残念だ」とアフリカ自然保護財団会長のJeff Chrisfieldは述べていた。

「米国の自然保護政策は科学にもとづいて決定されるべきだ。プロのハンターたちや全米ライフル協会の意見を聞いて物事を決めるべきではない」とChrisfieldは話した。

編集=上田裕資

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