アマゾンが「クロームキャスト(Chromecast)」や「グーグルホーム(Google Home)」などの製品を取り扱わないことにグーグルが腹を立て、対抗措置を取ったというのがその実情だ(アマゾンでグーグルホームを検索すると、エコーが表示される)。
一方、アマゾンとマイクロソフトとの関係はまだそこまで悪化していないが、今後はグーグルと同様の状況になる可能性がある。
両社は既に音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」と「コルタナ(Cortana)」の相互連携を発表しているが、アマゾンは先日、アレクサをオフィスで利用できる「アレクサ・フォー・ビジネス(Alexa for Business )」の開始を発表した。同社は、公式発表の中でコルタナとの連携についてほとんど触れていない。
アレクサ・フォー・ビジネスを使うと、企業はカンファレンスコールへの接続や会議室の予約といった独自のスキルを作成したり、「Concur」や「Splunk」など他のエンタープライズサービスと連携することができる。
アレクサ・フォー・ビジネスのリリースにより、アマゾンはスマートオフィス市場で先行するマイクロソフトを追随することになる。マイクロソフトのコルタナは、MAUが1億4500万人に達し、現状はオフィスユーザーを対象にエンタープライズ向けサービスを提供している。
コルタナは、ユーザーのメールを解読し、相手に「今日中に調べておく」と返事をした場合、タスクのリマインダーを作成してくれる。マイクロソフトによると、将来的にはリンクトインと統合し、会議で会う相手のプロフィールを教える機能を追加する予定だという。
しかし、スマートオフィス市場では、アレクサの方が迅速にサービスを展開し、より大きな市場シェアを獲得する可能性が高い。今後、アマゾンはコルタナの専門領域であるワークプレイス・ソフトウェア製品の領域にも参入するかもしれない。
サードパーティーの開発者によるスキルの数では、アマゾンがマイクロソフトを凌駕している。スマートホーム向けスキルだけで、アマゾンは既に2万以上のスキルを用意している。これに対し、コルタナのスキルは2017年5月時点で46しかなかった。コルタナの最大の武器は、オフィス製品との連携だ。