ビジネス

2017.12.09

「デル」創業者兼CEOに聞く成功の秘訣

デル創業者兼CEOのマイケル・デル

まさに、機を見るに敏な会社である──。1984年、パソコンの保守管理会社として生まれた「デル」だったが、90年代に企業や一般家庭が当たり前にパソコンを持つようになるや、製造販売に進出。注文生産の直販スタイルによる低価格路線がウケて、瞬く間に市場を席巻したのだ。

だが勢いが徐々に鈍化するにつれ、一般消費者向けの販売から法人向けITサービス全般を扱う事業へ転換。サーバやストレージ機器、ソフトウェア開発などを幅広く手がけるなど、そのビジネスモデルを進化させてきた。今回、同社の創業者兼CEOマイケル・デル(52)にその秘訣を聞いた。

マイケル・デルCEOとの一問一答

Q :AI(人工知能)が最近、大きな注目を集めていますね。

A :AIはまさしく宇宙ロケットですよ。そして、データがその燃料です。互いにつながるデバイスが増えれば増えるほど、スマートな社会になるはずです。コネクテッド・デバイスの台頭で大きなビジネス機会が生まれつつあります。

Q :シスコのジョン・チェンバーズ会長は2020年までに、今日の3倍に当たる、500億個のセンサーが世の中で使われると予想しています。どう思います?

A :実際は、もっと多いと思いますよ。電気があるところセンサーあり、という状況になるのでは。

Q :社名をデルからデル・テクノロジーズに変えたのはいつでしょうか?

A :16年9月ですね。ストレージ機器開発企業「EMC」やソフトウェア開発企業「ピボタル」などの多彩な企業を傘下に収めたのを機に、今までとは根本的に異なる会社だと示すためです。

Q :最初は、一般消費者を対象にした直販スタイルのパソコン製造会社から始めました。それが今では、垂直統合型の法人向けビジネスを展開しています。

A :独特の形態を取っています。デル傘下の企業にはピボタルのように小規模ながら、すばやく動けるスタートアップもあれば、EMCのような世界的な企業もあるのです。

Q :15年に670億ドルでEMCを買収しています。クラウドがストレージ機器を淘汰するものと思っていました。払いすぎたと後悔していませんか?

A :すべてのものがクラウドで保存されるようになる、という考えは正しくありませんね。今年の早い時期、調査会社アップタイム・インスティテュートが各社CIO(最高情報責任者)に「データをどこに保存しているか」と聞いたところ、13%がクラウド、65%がオンプレミスと回答しています。もちろん、クラウドは今後伸びるでしょう。でも、すべて持っていくとは思いませんよ。

Q :買収した企業のCEOたちもかつては独立して自主的に経営できていたわけですが、今ではどのようにして彼らのモチベーションを高めているのですか。

A :押さえつけたりしないことが大切です。彼らのクリエイティビティ(創造性)や想像力、夢を邪魔してはいけません。好きなようにさせてあげるのです。

Q :これから起業家になろうとしている人へ何かアドバイスを送るとすれば?

A :好奇心を持って素直に耳を傾けること──。そして顧客から学ぶことです。そんなに難しいことではないはずですよ。

インタビュー=リッチ・カールガールド

この記事は 「Forbes JAPAN CxOの研究」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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