VRとブロックチェーンの交差点:仮想世界が仮想でなくなるとき

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分散型仮想世界へようこそ

仮想現実は、いまだに「仮想」だ。実際にバハマの土地を買えるわけではないので、航空券を取らないように。しかしいま、新たなVR技術が仮想世界を再びおもしろいものにしつつある。ヘッドセットの機能性が増したことで、より解像度の高いビジュアルを表示することができるようになった。触覚グローブのようなハードウェアによって、ユーザーはより洗練されたかたちで仮想世界に触れ、フィジカルなフィードバックを得ることで、これまで以上に没入できるのだ。

こうした技術の発展によって、仮想世界の価値が見直されようとしている。ICOにより35秒で2400万ドルを調達したVRプラットフォーム「Decentraland」では、誰もがそのプラットフォーム上でアプリをつくることができる。それに加えて、「Second Life」のような仮想世界と異なり、「Decentraland」にはサービスを管理する”中央”がない。デベロッパーやユーザーは、VR体験をよりオープンなプラットフォームで楽しめるのである。

多くのオンラインゲームでは、仮想世界の資産を現実のお金に換金することや、プラットフォーム以外の場所で取引が行われることは禁止されているが、分散型のプラットフォームであれば、ユーザーは従来の方法を超えて仮想資産をお金に替えることができるだろう。

仮想が仮想でなくなるとき

投資チャンスという点で、仮想世界の不動産は現実世界のそれと比較するに値する。仮想世界のなかで多くの人々が訪れる場所は、ブランドにとっては一等地だ。たとえばスポーツゲームで目にする仮想アリーナには、スポーツブランドのバナーが並んでいる。マーケッターはゲーム開発者に高いお金を払って、こうした場所を使ってブランドを露出させるのである。

仮想世界の不動産の持ち主は、これと同じようなかたちで土地を利用できるようになるだろう。さらに最新のVRプラットフォームなら、多様なキャンペーンに合わせてその効果を最大化させるような感覚をもたらすことができる。企業は、仮想世界のなかでユーザーが3Dのプロダクトを見て、実際に感じられるようなショールームをつくることだってできるだろう。

刺激的な可能性

このように、ハードウェアの進化がよりリッチな体験を可能にするなかで、VR界に”完璧な嵐”が訪れようとしている。

「時代や場所の設定から、物理的・社会的なパラメーターに至るまで、VRは本当に柔軟な環境をつくり出すことができる。これはブロックチェーン開発者にとっては、現実世界ではできないような実験ができる機会になる」と、ブロックチェーン企業Zeppelinのフランコ・ジオリ(Franco Zeoli)は書いている。また分散型のVRプラットフォームでは、ユーザーは通常なら開発側が設けるような制約から解放される。ブロックチェーン自体が、取引の公正さと安全性を約束するからだ。

ゲームや旅のサービスを提供するだけでなく、分散型プラットフォームのデベロッパーたちは、仮想世界でイベントやコンサート、スポーツ観戦を楽しめるような「仮想スタジアム」をつくるかもしれない。現実世界のイベントと同じように、マーケターたちはブランドプロモーションのためにこうしたイベントを使うことができるというわけだ。

多くのテクノロジーが発展するときと同じように、市場は最終的に、VRがビジネスチャンスになるかどうかを見極めることになるだろう。だが、このVRの進展スピードを見る限り、VR技術とマーケットが進化を続ける先に、刺激的な可能性が待っていることは間違いない。

翻訳・編集=宮本裕人

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