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08p140

『トヨタ生産方式』
大野耐一(著)
ダイヤモンド社 1,400円+税/232ページ

◎大野耐一
1912年中国・大連生まれ。32年名古屋高等工業機械科を卒業後、豊田紡績(現:トヨタ紡績)入社。43年、現・トヨタ自動車転籍。49年、機械工場長に就任し、54年取締役、64年常務取締役、70年専務取締役、75年副社長に。豊田紡績会長、豊田合成会長も歴任した。90年他界。


CEO’s BOOKSHELF 須田将啓 エニグモ代表取締役最高経営責任者
 『トヨタ生産方式』は、特定の人向けの生産方式に関する書籍ではなく、物事の本質を解き明かした、多くのビジネスマンにとって有益な一冊だと思っている。

 私は、新卒で広告代理店に入り、トヨタと仕事をしたのだが、そこで「徹底してムダを排除した」トヨタの筋肉質な企業文化に触れた。

 例えば、タイの首都バンコクのトヨタのディーラーに、あるシステムを導入した時のことだ。「KAIZEN」(改善)と背中に書かれたスタッフジャンパーを着たトヨタ社員が、オペレーターの作業ひとつひとつの時間を、ストップウォッチで計測してムダを排除していた。

 驚きとともに、「なぜここまでやるのだろう」―と考えたことが、この本を手にするきっかけだった。もちろん、トヨタのカイゼンという言葉は知っていたが、その言葉の本質を理解していないのではないかと感じたからだ。 必要なモノが、必要な時に、必要な分だけという「ジャストインタイム」の背景には、必要なモノ以外を、「余裕」と見るのではなく、「ムダ」と捉える思想がある。アクシデントに備え、多少の余裕を持つというのは健全な発想に思えるが、その余裕は、ときにアクシデントを吸収し、問題を覆い隠す。気がついた時には、大手術が必要なほど悪化している危険もあるのだ。ただし、事前にムダを排除しておけば、問題は小さなうちに顕在化し、俊敏な軌道修正が可能だ。これが物事の本質なのではないだろうか。

 社内の余分な役職や制度が、会社やチームの初期の問題を隠し、芽を摘む機会を損なわせる。すべてをシンプルな構造にして、些細な違和感に敏感であることが重要なのだ。

 エニグモの上場を目前に控えた2012年春。1週間でサハラ砂漠250kmを走破するサハラマラソンに挑戦した。そこで、物資を運ぶ車が砂にはまり、動けなくなるというトラブルが起きた。助けに来た車も砂にはまり、結局4台の車が動けなくなった。そこにトヨタのランドクルーザーが現れ、4台の車を牽引していった。現地のベルベル人も「あんな車を作る、お前の国はすごい」といたく感激していた。

 ムダの排除という小さなことの積み重ねが、世界で最も過酷な地でリスペクトされる、ワイルドなクルマを作り出しているというこの大きなギャップに、感銘を受けたことを覚えている。

 エニグモの目標は、世界中の人が利用したくなる、感謝されるようなサービスを生み出して、世界を変えることだ。

 いつか、自分が感じたように、最果ての地を訪れた日本人の若者が、「お前は日本人か?このサービスはお前の国のエニグモが作ったのか?いい国だ」と言われる日がくることを夢想して、目の前の小さなことに取り組んでいる。
(全文掲載)

須田将啓

 

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