こうした状況を認識する消費者は、ますます増加しているようだ。サイバーセキュリティ対策が専門のIrdeto(イルデート)が今年10月に中国とカナダ、英国、米国、日本、ドイツの8534人を対象に実施した調査から、コネクテッドカーに対する消費者の考えが明らかになった。
自動車がつながっていくことは避けられないと見られていること、ここ数年、サイバー攻撃に関するさまざまなニュースが報じられてきていることを考えれば、自動車が自らを守る能力について調べる必要性を、消費者が認識するようになるのは当然のことだ。
回答者の半分以上が、車のそうした能力について事前に自分で調べると答えている。中国では特にそうした人の割合が高く、71%に上った。
一方、自分の車は「接続されていない」または「接続されているか分からない」と回答した人は、93%だった。すでに新車の多くにはWiFiが搭載されており、自宅と接続され、ソフトウェアのアップデートが可能になっている。「分からない」と答えた人のほとんどは、実際には「つながって」いる可能性が高い。
また、わずか12%ではあるが、コネクテッドカーとそのセキュリティの問題について、「不安を感じない」という人もいた。恐らく、私たちはまだパニックに陥る必要はない。だが、この問題については、非常に慎重に対応していく必要がある。
「つながる」ことは避けられない
北米で販売されている新車は現在、およそ半数が通信機能を備えている。そうでない場合でも、BluetoothやUSBを使ってスマートフォンを接続すれば、メディアプレイヤーを使ったり、電話をかけたりすることができる。また、自己故障診断ポートに、保険会社が保険料のいくらかの引き下げと同時に無料で提供するアダプターを接続している人も多い。
また、高級ブランドの大部分はすでに、ほぼ全てのモデルに通信機能を備えている。その他のメーカーも、同じ方向を目指している。10月には米フォードのジム・ハケット最高経営責任者(CEO)が、2020年までに北米地域で販売する100%、その他の地域で販売する90%のモデルをコネクテッドカーにすると発表した。日産やヒュンダイなども、そう遅れることなくフォードの後に続くだろう。
人間が運転しなくても自動車が走る世界の実現に向かう中で、呼び戻したり、必要な場所に送り届けたり、アップデートしたりするためには、自動車はつながっていなくてはならない。メーカー各社とイルデートやKaramba Security(カランバ セキュリティ)、タワーセック(TowerSec)、アルグス・サイバーセキュリティ(Argus Cybersecurity)などはここ数年、この問題を一層深刻に受け止めるようになっている。
自動車メーカーは2015年には、セキュリティに関する脅威とこの問題への対応におけるベストプラクティスについての情報の共有を可能にするため、自動車情報共有分析センター(Auto-ISAC)を設立した。その後、大手サプライヤーの多くもこのメンバーに加わっている。
これらの企業の仕事は、車にウイルス対策ソフトやファイアウォールをインストールすることにとどまらない。車両からクラウド、製品開発まで、運輸に関連するエコシステム全体に対応する必要がある。