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世界を目指す「社内発イノベーション」事例

マレーシアのコワーキングスペース「Colony」

マレーシアに36あるといわれるコワーキングスペースで異彩を放っているのが、今年7月にできた「Colony」だ。直訳すると“植民地”だが、“成長や拡大、あるいは共通の職業や興味関心の下、共棲する人たち”という意味もある。

共同創業者であるティモシー・ティアは、ブロガーとして活躍する傍らSNS「Netccentric」を立ち上げ、2015年にオーストラリア証券取引所で上場を果たす。同年、EY Entrepreneur Of The Year Malaysiaを受賞するなど、勢いのある起業家としても知られている。

日課としているジョギング中に見かけた通勤中の人や、携帯電話を片手に話す人たちに笑顔が見られないことがティモシーに新たな気づきを与えた。この20年でマレーシアの生活水準は著しく向上した。旅行も以前より自由にできるようになり、IT化が生産性の向上やコミュニケーションの仕方を変えた。変わっていないのは『働き方』だ。

ホテルのような環境とおもてなしが味わえるコワーキング

行き着いたのは「現代版・紳士クラブ」。ラグジュアリーな雰囲気を持ちつつ、訪れる人々を快適にさせるような社交場だ。

「私たちのビジョンは『企業とその社員に最高の仕事環境を提供する』ことです。Colonyは単なるコワーキングスペースを超え、ホテルで得られるような経験を仕事にもたらしたいと考えています」と言うのは、同じく共同創業者で妻のオードリー・オオイ。彼女もブロガーとして人気を博している。


2Fのコワーキングスペース。広々とした空間に40席配置。ダークブラウンのヘリンボーン床にアルミナムチェアが映える。

クアラルンプールを拠点とするHoe & Yin Design Studioが手がけた空間は、まさに上質なホテル。一面窓の吹き抜けエントランスから格子のデザインがあしらわれた廊下を進むと、プライベートオフィスやコワーキングスペースが広がる。一息つきたいときのためにマッサージルームやハンモック、ソファベッドルームも完備している。


ホテルのラウンジのようなイベントスペース。予定がないときはコワーキングとしても使える。

Colony利用者は6割は国外、4割はマレーシアの中規模企業やスタートアップ企業で構成されており、独自のSNSポータルサイトやイベントスペースで交流が積極的に行われている。外部向けデイパスにより、グーグルやマイクロソフト、メイバンク等の大企業や、個人のバースデーパーティーで貸し切られることもあるという。

ホテルライクなのは空間だけではない。常駐するコミュニティマネージャーを「コンシェルジュ」と呼び、クライアントのサポートに努めている。

「彼らはフレンドリーでコミュニティ作りがうまい。チャンスを持ってきてくれて、弊社のわがままにも柔軟に対応してくれるので快適に仕事ができます」と、2ヶ月前からメインオフィスとして利用している書道家/Nollyz Malaysia Sdn Bhd代表取締役・石川徳仁は話す。コワーキングによってはコミュニティが希薄なところもあるという。

Colonyはクアラルンプールの中心に位置し、ショッピングセンターのKLCCやパビリオンから徒歩5分程度。MRTや公共交通機関も利用しやすい。「家から近いのも利点のひとつです。登記の登録もできますし、ファシリティ等の面からもコストパフォーマンスは十分です」

文=木村忠昭

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