自他ともに認めるエンジン屋、BMWが目指すモビリティの未来

極上の乗り心地と至福のドライブを叶える、先進技術満載のプラグインハイブリッド。

イギリス政府が2040年までにエンジン車の販売を禁止すると宣言し、フランスのマクロン首相も続いた。ドイツも連邦政府として、2030年までにエンジン車の販売禁止を求める決議を可決している。その背景には、「2030年までに温室効果ガスの排出を26%削減する(13年比)」という、パリ協定による厳しい目標が存在する。

1886年にダイムラーによってエンジン車が発明されて以降、その良し悪しでクルマの評価が変わるほど、エンジンの存在は大きなものであった。まるで高級時計ブランドにとっての自社ムーブメントのように、自社製エンジンは差別化のポイントだった。

しかしそれも電動化されてしまうと電気モーターもバッテリも汎用品を組み合わせれば、誰もが簡単にクルマを作れてしまう……そんな懸念が広がる中、あえて“エンジン屋”のBMWが電動モビリティの未来を切り拓こうとしているのは興味深い。

BMWの次世代を担う電動モビリティとして、2014年に「i3」と「i8」といった「iシリーズ」を登場させて話題になったが、さらに一歩進めて、BMWの通常のモデル・ラインナップに「iパフォーマンス」なるPHVグレードを登場させた。

その「iパフォーマンス」の中でも、旗艦モデルたる「7シリーズ」に「i」のエッセンスを取り入れた「740e iパフォーマンス」では、BMWが目指すモビリティの未来が色濃く表現されている。一回の充電で42kmものEV走行が可能で、それ以上の距離はエンジンを始動してハイブリッド車として走行する。15.6km/Lの低燃費を実現しつつ、停止から100km/hまでをわずか5.4秒で加速する。

そう、BMWに期待される俊足ぶりは存分に発揮しつつ、次世代のモビリティに期待される環境性能も満たすのだ。“心臓部”たるエンジンの排気量はわずか2Lだが、電気モーターと組み合わせることにより、より大きな排気量のエンジンと同等のハイパフォーマンスを発揮する。

自他ともに認める“エンジン屋”であるからこそ、BMWは電化に向かうモビリティの将来と向き合い、ドライビング・プレジャーに溢れるものにしようとしているのだろう。

DATA
駆動形式:後輪駆動
全長:5110mm
全幅:1900mm
全高:1480mm
最高出力:240kW/326ps(システム合計)
価格:10,660,000円~(車両本体価格・税抜き)
問い合わせ:BMWカスタマー・インタラクション・センター(0120-269-437)

電動モビリティに積極的に挑むBMW

自動車大国ドイツを語るに欠かせないフランクフルト・モーター・ショーで、「2025年までに電動パワートレインを採用する25モデルを市場に投入する」と、BMWの会長を務めるハラルド・クルーガー氏が発表した。



そのうち、ピュアEVが12車種にも達するというのだ。そして、BMWが目指す電動モビリティの未来を「iビジョン・ダイナミクス」の形で見せた。「i3」「i8」に続く、BMWが放つ第3弾となる電動モビリティである。4ドアクーペ・スタイルのボディを持ち、電気モーターによって4輪を駆動する。

詳細なスペックは明かされていないが、一回の充電で600kmもの走行が可能で、最高速は200km/hに達し、0-100km/h加速を4秒以下でこなす俊足ぶりだ。同じグループに属するミニから「MINI Electric Concept」、2輪部門のモトラッドからは電動バイクのコンセプトとして「BMW Motorrad Concept Link」がそれぞれ発表されている。

text by Yumi Kawabata edit by Tsuzumi Aoyama photograph by Tsukuru Asada (secession)

この記事は 「Forbes JAPAN CxOの研究」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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