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ドイツでは、2年前から自動車業界のスキャンダルが立て続けに報じられてきた。このため、消費者の間でディーゼル離れが急速に進んでいる。

KBAによると、17年上半期に認可されたディーゼルやエンジン搭載の乗用車数は、前年同期に比べて9.1%も減った。逆に、ガソリン・エンジン車は11.7%増加、EVは133.9%、プラグイン・ハイブリッド車は100.3%も増えている。

ドイツ人には倹約家が多い。これまでディーゼル車の人気が高かった理由の1つは、ドイツでは軽油の価格がガソリンよりも低く抑えられているため、長年にわたって乗れば乗るほどコストを節約することができ、中古車として売る時にも価格が大幅に下がらないことだった。それだけに、消費者からは「一連のスキャンダルのために、マイカーの価値が下がった」という怒りの声も聞かれる。

ドイツの自動車業界は、政界でも大きな影響力を持つ。同業界は、87万人を直接雇用している。この国の就業者の7人に1人は自動車と関わりのある仕事に就いている。自動車産業の売上高は毎年4000億ユーロ(約53兆円)。この業界は経済の屋台骨であるとともに、重要な票田でもある。したがってドイツの政治家たちは、政党を問わず自動車業界と良好な関係を築こうとしてきた。

しかし、今回のディーゼル危機では様子が異なる。政界から自動車業界への風当たりは強い。9月の連邦議会選挙では、「車のエネルギー転換」が争点の1つとなった。アンゲラ・メルケル首相は、選挙前のテレビ討論会の中で排ガス不正を「信頼を裏切る行為だ」と呼び、「私はかんかんに怒っている」と珍しく感情を露わにした。

首相は9月に行われた国際モーターショー(IAA)でも、「複数の自動車メーカーが法律の抜け穴を悪用して消費者と監督官庁をだまし、失望させた。自動車業界は排ガス不正から教訓を学び、失われた信頼を回復してほしい」と厳しい言葉で業界を批判している。

ドイツもEVシフトは不可避

今年になってからは、ドイツだけではなく、他国でも内燃機関の車を制限してEVシフトを求める動きが強まっている。英仏政府は40年までに、内燃機関の車の認可を停止する方針を打ち出している。中国政府は19年以降、メーカーに対して毎年の生産・販売台数のうち、一定の割合をEVかハイブリッドカーにすることを義務付ける、クオータ制度を導入する方針を明らかにした。

これに対してドイツ政府は、立場を他国ほど明確にしていない。自動車産業が同国の経済の中で大きな比重を占めていることに配慮しているからだ。メルケル首相は、「我々はまだ何十年も内燃機関の車を使うだろう。特にCO2削減目標を達成するにはディーゼル車は重要だ」と語っている。だが同時に、ある雑誌との取材で「何年までと区切ることはできないが、内燃機関の車を廃止することは長期的には正しい道だ」とも述べている。

そのため今年のIAAでは、各メーカーともEVの試作車を前面に押し出した。メルケル首相が各社のブースを訪れた時、最も知りたがったのはEVについてだった。例えばVWのマティアス・ミュラーCEOは、30年までにEV開発に200億ユーロ(約2兆6600億円)を投じ、EVを50車種、ハイブリッドカーを30車種発売する方針を明らかにした。同グループは現在内燃機関の車を300車種売っているが、どのモデルも少なくとも1種類はEV化する。

ミュラーCEOは「VWはEVの世界的リーダーになる」と強気だ。同社は中国市場に大きく依存しているので、売上高や収益性が激減するのを防ぐには迅速にEVへシフトせざるを得ない。


EV開発を急ぐVWの工場内

文=熊谷 徹

 

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