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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

クオンタムリープ代表取締役 出井伸之氏

人生は岐路の連続。最良の選択でチャンスを呼び込むためには、自身と深く対話し、自分の中にある幸せの価値観を知ることが重要である。この連載は、岐路に立つ人々に出井伸之が送る人生のナビゲーション。アルファベット順にキーワードを掲げ、出井流のHow toを伝授する。

今回は、I=Israel(イスラエル)とInnovation(イノベーション)について(以下、出井伸之氏談)。


今から約70年前の1948年、いまスタートアップネイションと注目されるイスラエルが建国された。実は、そのわずか2年前にソニーの前身である東京通信工業が創業している。40年代半ばに誕生したイスラエルとソニーは、共にイノベーションを起こすことに意欲的だ。

戦後、世界的に伸びた日本企業は、ユダヤ人の商売力の強さにとても恩恵を受けていると思う。ソニーでも各国のエージェントにはユダヤ人が多い。私は昔からユダヤ人と日本人は結構うまくやっていけるのではないかと思っている。

私が代表を務めるクオンタムリープでは、スタートアップやイノベーション領域での仕事をしているため、イスラエルは一度訪れなければと思っていた。それがこの夏、ようやく実現した。

2000年以上にわたり流浪の民だったユダヤ人が様々な困難を乗り越え、エルサレムに3つの宗教が混在する特異な国、イスラエルをつくった。そして今スタートアップ大国と呼ばれるようになった秘密に関心を持っていた私は、アドバイザーや取締役をしているベンチャー企業の経営者らと共に、宗教の聖地エルサレムと、経済文化を牽引するテル・アビブを訪れ、この国の強さとその元になっているものを探ってきた。

イスラエルが持っている3つの強み

行く前に得ていた情報と実際訪れてわかった事実をひっくるめて、私が考えるイスラエルと日本の根本の違いは、大きく3つあると思う。

まず1つ目、技術が発達する背景。建国してから7回も戦争を行い、周辺諸国が敵ばかりというイスラエルは軍事のための技術に集中してきた。一方、日本は国連と日米安保条約で守られ、自ら戦争しない国の平和な産業技術で発展してきた。イスラエルに限らず他の国、たとえば米国は3年に一回は戦争を行なっているが、そのたびに技術が向上している。

イスラエルでは、軍事技術を民間にも活用し国の産業を発展させてきたが、対して日本は、戦後、コンシューマー向けの商品の開発を行い、技術を発達させ経済を発展させてきた。「Japan as No.1」を掲げ、日本から誕生したソニーなどのいくつかの企業はグローバルに大きく成長した。まさに民生用技術の向上から産業が発展した国だ。

イスラエルの国民はわずか800万人だが、その中に8000を超えるスタートアップが存在している。なぜここまで成功しているのだろうと思っていたが、行ってみて確信した。その秘密はやはり軍事にあった。常に戦争と背中合わせの中、自分たちで国を守ってきたという強烈な背景がある。

そして驚いたことに、18歳からの兵役期間(男性3年・女性2年)に、国が一人一人の能力を全て分析し、把握していることだ。プログラミング・ハッキング・物理理論に強いなど、得意分野を定めて伸ばす教育を行なっている。

イスラエルは、常に戦争がそばにあるから思考の元となる国の情勢や国民の状況も、日本とはまるで違う。しかし、そもそもどんな国でも若い人は自分自身の強みというのはよくわかっていないものだ。イスラエルでは兵役後、大学に進学するのは21歳以降となる。

長い人生、社会への船を漕ぎ出す最初は、多くのアドバイスをもらいながらゆっくりとスタートするのがよいのではないかと思うと、ここは今の日本が学ぶべき点だと思う。大人への階段を急いで登ろうとし、これからの人生をどう生きていくか迷ってる大学生や高校生が多くいるが、スロースタートは自分自身を見つめることのできる価値ある時間なのではないだろうか。

2つ目は、国が軍事技術を活用した起業を推奨していること。これはまず多くの国では違法だと思うがイスラエルでは違うようだ。

中東に平和をもたらした功績によりノーベル平和賞を受賞したイスラエル第9代大統領シモン・ペレスの有名なフレーズに、「To Dream is to Survive」がある。人間は年をとると過去を振り返り話すことが心地よいようだが、そればかりでは国が衰退していく。“未来を考え続ける国のみが生き残れる”。それがこのスタートアップネイションの合言葉なのだ。

インタビュー=谷本有香 構成=細田知美 撮影=藤井さおり 取材協力=Quantum Leaps Corporation 撮影協力=512 CAFE&GRILL

 

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