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金融から紐解く、世界の「今」

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iPhone Xが発売された今年は、iPhone登場から10年、さらに、ビットコインの基となったサトシ・ナカモト論文やグローバル金融危機など、フィンテックの契機となった数々の出来事からも約10年が経過した節目の年といえる。

「インスタ映え」や「フェイクニュース」が流行語となった今年、フィンテックの世界では、AI・ビッグデータの活用や中国勢の急成長、ICOの隆盛や仮想通貨の価格急騰などが注目を集めた。

本年一段と明らかになったのは、現在世界で起こっている現象とは経済社会全般にわたる「情報処理革命」や「データ革命」であり、フィンテックはあくまで、その一部としての金融面への発現形態と捉えるべきということである。実際、”InsTech”、”RegTech”、”SupTech”などさまざまな新語も広まっている。そろそろ、末尾にわざわざ”Tech”を付けて語ること自体が時代遅れになりつつあると感じられるほど、情報処理革命は広範な分野に浸透しつつある。

情報処理革命の影響が、さまざまな産業の中でとりわけ「情報処理」の性質を色濃く持つ金融に、まず表れやすかったことは当然といえる。また、約10年前に新技術として登場したブロックチェーン・分散型台帳やビットコインが、「マネー」や「帳簿」といった金融の基盤インフラに関わるものであったことも、金融への影響に最初に注目が集まった背景といえよう。

多様な産業とかけ合わさるフィンテック

しかし、ブロックチェーンや分散型台帳は、大きな潜在力を持つ技術ではあるが、実用の取り組みの多くは、なお実験の段階である。その一方で、本年大きな注目を集めたビッグデータやAIは、eコマースやIoTと金融サービスとの融合など、金融にとどまらず、産業の垣根を越えた幅広いネットワークを構築することで、その力を大きく発揮するものである。

中国フィンテックの急成長の背景にあるのも、やはり「経済社会全体にわたる情報処理・データ革命」といえる。もともとはeコマースやSNSの企業であるアリババやテンセントは、人々の生活全般に関わるサービスの提供を企業目的としており、金融はあくまでその一部と位置付けている。

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charnsitr / shutterstock.com

これらの動きは、日本をはじめ先進国のフィンテックにとっても示唆的である。フィンテックは、従来の金融をインターネットに乗せるだけでは進まない(それでは、「どうして顧客はネットバンキングをなかなか使ってくれないんだろう」と悩んで終わってしまうだろう)。

「インスタ映え」という今年の流行語も示すように、ネットとスマホが形成する「バーチャルライフのお洒落度」に人々が大いに関心を向けるようになっている中、これらを媒体とする金融サービスについても、従来のサービスよりも便利で、安全で、お洒落なものを作り出せるかどうかが、ますます問われている。

文=山岡浩巳

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