ビル・ゲイツが公開した「2017年に感銘を受けた5冊の本」

ビル・ゲイツ(Photo by Ida Mae Astute / ABC via Getty Images)

読書家として知られるビル・ゲイツは自身のブログ「ゲイツ・ノート・ブログ(GatesNotes blog)」で読んだ本を定期的に掲載している。ここでは12月4日、ゲイツが発表した「2017年のお気に入りの5冊」を紹介する。

「The Best We Could Do」
 ─Thi Bui著
(未邦訳)

1978年に難民としてアメリカに渡ったベトナム人家族の歴史を描いたコミック作品。著者のThi Buiはベトナム生まれで現在はカリフォルニア州バークレーに在住。自らの出産を契機に、子供たちにベトナムの歴史とアメリカで直面した困難を伝えようと思いこの本を執筆したという。ゲイツはこの作品に「親は誰でも子供たちに出来る限りの事をしてやりたいものだ」という人類共通のテーマを見出したという。

「Evicted: Poverty and Profit in the American City」
 ─マシュー・デスモンド著(未邦訳)

タイトルの“Evicted”は「追い出された人たち」を意味する。家賃を払えず家から立ち退きを迫られる人々に密着し、米国社会の貧困の実態に迫ったノンフィクション作品。社会学者のマシュー・デスモンドはミルウォーキー州の貧しい地域で18か月間暮らし、この作品を執筆。ピューリッツァー賞のノンフィクション部門を受賞した。「貧困に苦しむ人々が直面する困難が詳細に描かれている」とゲイツは記している。

「Believe Me: A Memoir of Love, Death, and Jazz Chickens」
 ─エディー・イザード著(未邦訳)

著者のエディー・イザードは英国のスタンドアップコメディアン。女装姿で容赦ない毒舌芸で人気を博すイザードは1996年には映画「シークレット・エージェント」でロビン・ウィリアムズと共演を果たした。この作品はトランスジェンダーであるイザードの自伝作品。19歳で大学を中退し、若くして母親をガンで亡くしながらも、夢を追い続けた半生が描かれている。奇抜なユーモアに満ちたこの作品を読んで、ゲイツは何度も笑い転げたという。

「The Sympathizer」
 ─ヴィエット・タン・グエン著(未邦訳)

ベトナムと米国の血を受けつぐ男性を主人公にした、人生と戦争を巡る物語。タイトルの「The Sympathizer」は共鳴者を意味する。著者のグエンはこの作品で2016年のピューリッツァー賞のフィクション部門を受賞した。主人公はベトナムの諜報部員で、サイゴン陥落後にカリフォルニアに移り、戦禍を逃れ米国に渡ったベトナム人の同胞らの行動を監視する。ゲイツは2006年に初めてベトナムを訪れており、この本の感想を「ベトナム人の視点から見た、ベトナム戦争の実態が描かれている」と述べている。

「Energy and Civilization: A History」
 ─バーツラフ・スミル著(未邦訳)

ゲイツは著者のバーツラフ・スミルの大ファンで2014年の年末にも、彼の著作を今読むべき本にあげていた。「世間の人が『スターウォーズ』の最新作を待ち望むように、自分は彼の最新作を楽しみにしている」とゲイツは述べている。スミルはカナダのマニトバ大学の環境学の教授で、エネルギーや環境について数多くの著作を持つ。2017年5月に発行されたこの本でスミルは、人間とエネルギー資源との関わりの歴史について執筆。ゲイツは「エネルギー分野のイノベーションが人類に与える影響について学べた」と述べている。


編集=上田裕資

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