二人がソウルの梨泰院(イテウォン)地区で営むクラフトビール専門バー「The Booth」は独自に醸造したクラフトビールと、国内外の手作りビールをとりそろえている。The Boothは、海外進出に向けて新たな一歩を踏み出した。
The Boothは先日、50億ウォン(約5億2000万円)の資金を調達し、国内のオペレーションを増強。さらに、サンフランシスコや東南アジアに進出するとアナウンスした。出資元はYuanta InvestmentとMedici Investment。同社の累計資金調達額はこれで100億ウォンに達した。
KDB Industrial Bankのデータでは韓国のクラフトビール市場規模は200億ウォンにのぼり、今後10年で2兆ウォンに達する見込みという。2013年に立ち上げたThe Boothはソウルで最も認知度の高いクラフトビールバーになった。2018年には韓国内の店舗数を倍増させ、海外にも進出する計画だ。
現在30歳のヤンは次のように述べる。「The Boothの成功の理由の一つは、適切な場所で適切なタイミングで事業を始動させたことだ。ビールの製造だけでなく、パブの運営を行い顧客とダイレクトに接してきたことが成功につながった」
創業当時、ソウルにはごくわずかな競合しかいなかったが、マーケティング面では妻のキムの助言も得て、ソウルで外国人が多く暮らすことで知られる梨泰院で一番の人気店となった。ラベルには親しみやすくファンキーなキャラクターが描かれたThe Boothのボトルは、ソウル中のバーに広がり、済州島でもおなじみになった。
韓国には2015年にクラフトビールブームが起こり、海外からも多くのブランドが進出した。店舗数を拡大するか、それとも独自の醸造所を拡大するか検討した末に、ヤンはカリフォルニア州の醸造所を買収することを決定した。
韓国でのビール醸造は原料の入手コストも高く、この分野に経験を持つ人材の獲得も難しい。それよりも、米国で醸造を行うほうが得策だと判断した。
The Boothは2018年に、バンコクやホーチミンに進出し、海外からの旅行者やトレンドに敏感な現地の若者にアピールしようとしている。アジアでは韓国のK-POPや韓国料理がブームになっており、その流れに乗ろうとしている。海外進出にあたっては現地のパートナー企業と提携を行う予定だ。
「現地ではほとんどの人々がまだクラフトビールを体験したことがない。The Boothのボトルを中心にクラフトビールのコミュニティを築いていきたい」とヤンは話した。