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2017.12.05 17:00

ヒーロー映画のオールスター化、人々はいま「連帯」を求めている?

映画「ジャスティス・リーグ」プレミア上映に登場したバッドマン役のベン・アフレック(Photo by Gregg DeGuire/WireImage)

映画「ジャスティス・リーグ」プレミア上映に登場したバッドマン役のベン・アフレック(Photo by Gregg DeGuire/WireImage)

ヒーローは昔から孤独なものと決まっていた。正義のために孤軍奮闘で悪と戦う姿は、英雄物語として神話の時代から語り継がれてきた。

さて、このところのアメリカン・コミックヒーローたちはどうだろう。どうやら彼ら(彼女もいる)は、しばらく前から「正義」について悩み始め、自らのヒーローとしての存在を問い詰め、その結果なのか、最近では自分ひとりではなく、他のコミックヒーローたちとチームをつくって悪と戦うこととなってきた。

アメリカン・コミックヒーローたちが悩み始めた象徴的な作品として記憶に残っているのは、2004年の「スパイダーマン2」だ。ヒーローとして戦うことに疑問を抱き始めた主人公ピーター・パーカーは、スパイダーマンを引退することを劇中で決意する。

さらに、バットマンを主人公としたクリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」(2008年)では、冒頭からバットマン引退を決意する主人公が描かれ、以降延々と「正義」についての議論が交わされる異色の作品となっている(これだけ登場人物たちが多くのセリフを喋るアクション映画を他に知らない)。

ここで閑話休題だが、アメリカン・コミックヒーローたちの流れは、実は2つある。映画ファンなら常識かもしれないが、スパイダーマンが代表するマーベル・コミックとバットマンを生んだDCコミックスだ。

マーベルは1939年に設立されたニューヨークのコミック出版社、スパイダーマンの他にキャプテン・アメリカ、X-メン、アイアンマン、マイティ・ソーなどが「所属」する。一方、DCコミックスは前身の会社が1934年に創業され、現在はカリフォルニア州のバーバンクに本社を置く。バットマンの他に、アメリカを代表するヒーローであるスーパーマンを擁し、他にもワンダーウーマン、アクアマン、フラッシュなどが陣営に顔を揃える。

マーベルは2009年にウォルト・ディズニー・カンパニーに買収されて傘下に入り、DCは早くからワーナー・ブラザースの子会社となり運営されている。両社とも21世紀に入ると、競うように自社のヒーローたちを主人公とした実写映画を世に送り出し、毎月のようにアメリカン・コミックヒーローたちの作品がスクリーンを賑わす現在の盛況を導いている。

話を冒頭に戻すと、これらヒーローたちが最初にドリームチームを組んだ映画はマーベルの「アベンジャーズ」だ。2012年に公開されたこのヒーロー・オールスターの作品は、実は2008年の「アイアンマン」から念入りに計画されており、「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズの第6作目としてアイアンマン、ハルク、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ホークアイの6名のヒーローたちが顔を揃えた。

「アベンジャーズ」は、史上最速で世界での興行収入が10億ドルを記録するなど、大ヒットを記録。それに刺激を受けたのか、DCも2016年の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」を露払いにして、今回、満を持してバットマン、スーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、アクアマン、サイボーグが一堂に会する「ジャスティス・リーグ」を製作して公開した。
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文=稲垣伸寿

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