新たにサービスが利用可能になったのは、ロサンゼルス(カリフォルニア州)とダラス(テキサス州)。年間18モデルまでを利用することができ、入会金は500ドル(約5万6000円)、月額料金は1800ドルとなっている。
同プログラムの責任者であるメロディー・リーは対象地域の拡大を決めたことについて、「世界各地に大きな需要があることが分かった」「富裕層が多く、市場シェアの拡大につながると見られる地域でサービスを提供することに決めた」と説明している。
キャデラックは米国内のほかドイツ・ミュンヘンでも試験的に同プログラムの運用を開始しており、世界的な市場拡大も視野に入れている。また、リンカーンやボルボ、ポルシェをはじめとするその他の高級ブランドも、同様のサービスを開始している。
異なるキャデラック体験の機会を提供
キャデラックはニューヨーク市内での利用者の増加に伴い、プログラムに投入する車両の台数を引き上げた。サービスの開始以降、加入者はすでに7000人を超えている。
さらなるサービス向上を目指しているというリーはプログラムについて、次のように語っている。
「毎月1500ドルでも加入する人が多かったことから、事業拡大に向けて月額料金を値上げした。また、提供する車両のライフサイクルを延ばすための管理を徹底するため、一回の利用当たりの走行距離に上限を設けて約3220kmまでとした」
「プログラムに投入するモデルについても再検討した。ロサンゼルスでは電気自動車の需要が高いことから、プラグインハイブリッド(PHV)のCT6の台数を多くしている」
米国市場ではこのところ、SUVやクロスオーバーに人気が集中している。そうした中でキャデラックには、提供するモデルがセダンに偏り、SUV・クロスオーバーが少ないという弱点がある。だが、同プログラムはわずかながら、そうした弱みが同社にもたらす痛みの緩和に一役買っている。
さらに、リーによれば同プログラムには、その他の利点もある。
「リース契約やローンを組んでの購入の場合、ある程度の期間にわたってその車を使用することが前提となる。だが、ブックに加入すれば消費者は長期契約を結ぶ必要がなく、また、所有する車のタイプに合ったライフスタイルにとどまらず、(その時々の)自分のニーズに合ったモデルを利用することが可能になる」
「当社は(このプログラムによって、特定の車両に対して)長期的な責任を負うという消費者の負担を取り除いた。その結果、消費者はキャデラックが提供する数多くのモデルと接する機会を持てるようになった。試してから購入できるということは、当社にとっても重要なことだ」