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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

キア・スティンガーGT

ときどき、これまでの常識を破り、ヨーロッパやアメリカのユーザー、アジアの人々の期待をはるかに超えるクルマが登場することが、ある。それを生みだす方式は簡単ではないが、それを実現したのが韓国のカーメーカー、キアで、そのモデルはスティンガーGT。素晴らしいスポーツ・セダンだ。

セグメントを圧倒するスタイルのスティンガーGTが登場して内心ハラハラするのは、ドイツだけではない。実は、日本の各カーメーカーもヒヤヒヤするはずだ。だって、こんなに刺激的に美しくて、ハンドリング抜群のクルマに太刀打ちできそうなものは、日本にはないからだ。

しかも、日本国内では韓国車を探ってみる機会がなく、アメリカまで試乗にこなくては敵情視察ができないという現状は、日本各社の車両開発部門にとってストレスになっているはずだ。だから、僕が会長を務めるワールド・カー・アワードのロサンジェルス試乗会は、選考委員である僕たちにとっても、貴重なチャンスだ。

今回僕は、キア・スティンガーGTを、ドイツとイタリアのセダンと乗り比べてみた。そして、その結果はうれしい驚きだった。

それでは、キアはどんなモデルかご報告しよう。まず、キアはオリジナルのV6ターボ・エンジンと8速デュアル・クラッチのテクノロジーを開発し、同社のジェネシスG80のプラットフォームを改良して組み合わせた。

それは、キアが静かにクーデターを起こして自動車業界に衝撃を与えた時に機を発している。同社はまず、高性能車の開発と自社ブランド強化のために、BMW社のMパフォーマンス・カー部門のチーフエンジニアだったアルバート・ビアマンを引き抜いた。さっそく彼が取りかかったのは、スティンガーの乗り心地と走りをチューニングすることだった。もちろん、それはほんの序の口だったが。

さらに、キアは元アウディのデザイナー、ピーター・シュライヤーを迎えて同ブランドのデザインを抜本的に改革しようとした。これによって、同社にドイツのクルマ作りの影響があったことは、覚えておかなくてはならない。シュライヤーは、ヒュンダイ・キア・グループのデザイン責任者であり、同社の3人の社長のうちの一人となっている。

つまり、シュライヤー効果は絶大だということ。この10年間に彼の影響を受けて、キアの送り出すモデルは、たとえば、僕のヨーローッパの同僚たちに言わせれば、概して日本のライバル各車よりずっとスタイリッシュになった。実は、僕はこれを案じている。 日本ではキアのクルマが販売されていないために、欧米でキアの人気がとても高くなっていることを見逃しているのではないかと。



新型スティンガーは、ボンネットが長く、キア流のスタイリッシュなグリルとLEDライトが付いている。フロントのオーバーハングは短く、流線型のルーフライン。外観のデザインはとても美しく、ライバルのアウディS5スポーツバックやBMW 440iグランクーペ、レクサスGSと並べても恥ずかしくない。

むしろ、日本でスティンガーに比肩できるブランドといえば、あの美しいアテンザを生みだしたマツダだけだろう。しかし、アテンザのパフォーマンスは、スティンガーには及ばない。

文=ピーター ライオン

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