世界初の女性だけのラリー、「女城主の里」岐阜県岩村町で開催

総合優勝を争ったL1-2クラスのシャンパンファイト。激戦だった。左から2位の上村梢組、1位の今橋彩佳組、3位の村木佐千子組


女性だけのラリーと書いたが、女性だけでコンビが組めるチームはまだまだ少ないため、ドライバーだけは女性限定、助手席でナビをするコ・ドライバーは男性OKとしたが、予想を超える39台が全国から集まったのはちょっと驚き。女性だけのチームも19台を数えた。
選手の顔ぶれも多彩。女性モータースポーツ界の草分け、競技歴38年の小出久美子選手(ランサーエボ)や、女性ラリー界の第一人者、上村梢選手(大井こずえさん改めWRX STI)のベテラン勢からラリー初参加の人まで様々。主婦、学生、会社員からモデル……なかには、母・娘・息子の嫁の2台参加、台湾の留学生、女性白バイ隊員、トヨタ社長の秘書嬢まで。取材するこちらも面白かった。広島県からの遠来者もいた。


何より嬉しかったのは、主婦業のためにラリーから退いていた人が、この大会の開催を聞いてカムバックしてくれたこと。小さなお孫さんが応援団だった。

応援に来た娘さんと完走を喜び合う玉木友恵選手。感動のシーンだった

ベテランからレーサー、まったくの初心者までのL1ラリー。大会前、勝田照夫組織委員長は「事故は絶対ダメ!」と口をすっぱく注意していたが、内心は「リタイアは20%くらいかな」と覚悟していたらしい。しかし、終わってみれば、全車完走とラリーでは珍しい結果に。井原さんは「女性の適応力の高さが証明されました!」と破顔一笑。

さぞ、ゆっくり走った結果だとお思いでしょうが、レベルは想像以上に高かった。狭いクネクネ林道を総合優勝した今橋彩佳選手(トヨタ86)はSS1/3(2.45㎞)を平均スピード約77km/h、SS2/4(5.49km)を平均スピード約82㎞/hで駆け抜け、優勝候補最右翼、上村選手を4.5秒の僅差で押さえた。ストレートは120km/hは出ていただろうね。私でも手も足も出ません。

と、いうことで、世界初の女性だけのラリーは無事終了。総合優勝の副賞もラリー競技では前代未聞のJAL東京~パリ往復航空券。こちらも参加者や車同様、華やかだった。


最後のSSで優勝を決めた今橋彩佳組の86。これまでレースを中心に活動。見事、パリ往復航空券を獲得

小坂市長は来年の開催を約束。日本ラリー界に名物イベントが誕生した。フォーブス ジャパンは女性の読者も多い。皆さんも来年、参加してはどうでしょう。


元ベストカー編集長・勝股優の連載「だからクルマは面白い」

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文=勝股 優

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